水路現場写真(2009年5月15日受取)


クナディ村

 シェイワは、かなり古い村落の集合で、一つの村ではない。構成民族の殆んどがパシャイ族である。彼らはヌーリスタン族と並ぶ山岳民族で、ラグマン州、ニングラハル州にまたがるケシュマンド山脈の中にすむ。同山脈の南麓・ダラエヌール渓谷も、その居住地である。言葉はヌーリスタン語に近い。話を総合すると、彼らがこの地域の先住民で、パシュトゥ民族はイスラム教と共に後で入ってきたものらしい。

このシェイワには、伝説めいたものがいくつもある。「クナデイ」もその一つで、小高い丘陵に住宅が密集している村がある。クナデイとは、パシャイ語で「古い村」の意味で、誰もその起源を知らない。住居群の作りは、ダラエヌール渓谷の奥地やヌーリスタン民族の居住地のそれに酷似している。

一見森に囲まれているように見えるが、沙漠の最前線に植えられるガズの林である。2年前まで殆んど水がなく、水争いで村落同士の殺傷沙汰が絶えなかった。昨年5月、マルワリード用水路のN地区(取水口から16~18km地点)の開通で、豊富な水が利用できようになった。ある村同士は60年以上たがいに仇敵だったそうだ。しかし、豊富な水量はこの対立を解消し、今では血なまぐさい話を聞かない。


写真はクナデイ村の集落をマドラサのモスクから眺めたもの。
その向こうに広がるのがガンベリ沙漠で、PMSの農場予定地が見える。
写真右は「P岩盤」の切り通し、現在その背面の岩盤地帯で
作業が続けられている。5月13日。

★Dr.T.Nakamura★
中村 哲
← 前の報告へ ○報告トップへ○ 次の報告へ →



Topページへ 連絡先 入会案内