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ベスード護岸・カマ堰改修、終局へ
ガンベリ開拓地、排水路網の整備始まる
~食糧の自給態勢確立へ努力~

増水の始まりを2月下旬から3月初旬と想定、みな全力投球でへとへとになるまで働きました。冬の河川工事は、ひとえに職員・作業員の奮闘で何とか終局に近づいています。昨年6月からの長い、長ーい、長ああーい日々でしたが、みなさんの御協力で乗り切ろうとしています。

ベスード第一堰、カマ第一堰、カマ第二堰、そしてマルワリード=カシコート連続堰は全て完全に復旧、以前よりも強靭となりました。シギ地域も連続堰の完工で、大きな不安はなくなりました。

残るはカマ堰対岸の護岸工事の部分的改修、タプー堰の完全復旧でしたが、月末までには終わります。今年は少雨が著しく、積雪がすぐ解けてしまいます。各地で不安が広がる中、ナンガラハル州北部全域で、小麦の収穫は保障できます。

実は、これ他人事ではなくなってきました。4月の混乱を前に、籠城態勢の一環でもあります。混乱期には先ず食べ物です。ほとんどの農民は国外へ逃れることができません。カネを貯めても、超インフレで二束三文となります。これまでの経験から見て、混乱期は必ず食糧の暴騰があり、窮した人々が動き始めます。みなそのことを知っており、必死です。

当方としては、マルワリード用水路流域、特にガンベリ方面で結束を強め、食糧自給を大きな課題と位置付けています。

工事の方は、小さな仕事は限りなくありますが、お陰を以て大物が片付きつつあることを報告します。



平成26年2月13日 記

遊んでいるのではありません。ガンベリ沙漠南側にラグマン州からの一族が大きな集落群を作っている。洪水排水路を設けて被害を切り抜けてきたが、開拓が進むにつれて農業用水の排水路整備が課題として浮かび上がっていた。今回は「主幹排水路」とし、橋を架ける。一家総出で砂利石を投げ込み、基礎工事を手伝う
2014年2月13日

土壇場になれば、何をおいても先ずは食糧だ。PMSでは職員の自給をめざし、今年はPMSガンベリ農場で180ジェリブ(35町歩)が小麦の作付けに充てられた。皮算用では、約100トンの生産を見込む。家族を入れて600~700名が一年間の主食として食える(アフガン政府基準で一人年間消費量156㎏)
2014年2月13日

長い砂州Ⅰ・Ⅱ間の河道を拡大、流量をカマ側に寄せ、ベスード側にかかる負荷を減ずる。詳しくは2013年10月13日の報告をご覧ください
2014年2月13日

作業現場から見るケシュマンド山系とダラエヌール。数日前になって2日間だけ降り積もったが、たちまち薄くなってしまった。もう今からの降雪は、夏まで残らない。取りざたされる政情と共に、大きな不安をかきたてる
2014年2月13日

ベスード護岸1500m地点。低下した河床へ注ぐV字谷状の洗掘。連続堤防の根固め部分が下流から激流に洗い流され、洗掘と決壊が上流へ向かって次々と起きていた。クナール河に限っては、水制が最も優れている。連続堤防は急流部で脆弱なことが多い
2014年2月13日

前頁写真の2日後。「根固め代用の高水敷を守る、低水位護岸」。こんなものがあるのかどうか分からないが、他に考えつかない。V字状にえぐられた砂利堆積層は、年々拡大して平坦となるが、こちらへ広がって来てもらうと困る。小さなV字谷を埋めつぶし、流れの方向を河の中心へ寄せる
2014年2月13日

実は類似の成功例がある。カシコート・サルバンド村の石出し水制(低水位護岸)が、洪水をはねかえして岸辺を守った。水制間に砂利が堆積、4回の洪水を経て安定した高水敷を成している。これは使える。河のことは河に尋くに限る
2014年2月9日

洪水下では水中にあった石出し水制の根方が露見される。激流を思い出して改めて恐怖。水制は長さ20数メートル、幅10メートル前後
2014年2月13日

ベスード護岸線上にある、タプー堰へ向かう屈曲河道は、浅い緩やかな流れで、大量の土砂が堆積する。斜め堰の土砂吐きの着想で、右岸と人工砂州の間に巨礫で急流を設け、堰き上げと共に、堆積を減らそうというもの

前頁図の人工砂州を上流側から見る。3年に及ぶ努力で中心の直進河道の河床が著しく低下(深くなる)、両岸の洪水の危険が遠のいた。次の課題は、タプー堰がある屈曲河道の水量(水位)をいかに確保するかだ。洪水も防ぐが渇水も避ける。矛盾しているが、ここは基本的に堰造成の考え方
2014年2月11日

人工砂州の上流側は籠で覆い、小さくとも島として残るようにする。作業は例によって、ヤール・モハマド率いるブディアライ組。信じられない速さで作る
2014年2月13日

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