2007年度の医療事業報告 及び2008年度の計画 ペシャワール会現地代表・PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長 中村哲 |
ペシャワール会報96号より (2008年06月25日) |
■1.医療事業 政情の変化を受けて、活動が大幅に制限された。アフガン側ではペシャワールからの外国人の陸路交通が禁止され、連絡が途絶えがちになった。また、「乳幼児死亡率を下げる」として、矢継ぎ早に出されたアフガン保健省の方策は、分娩室の設置を求めるなど、家庭出産が普通である山村の診療所に合わず、多少の混乱があった。 それでも、ダラエヌール診療所は西野医師らの常駐によって、著しく改善された。07年度はPMS基地病院を中心に、ダラエ・ヌール診療所で27,263名が診療された。 一方ペシャワールのPMS病院は、2007年4月にパキスタン政府から出された事実上の閉鎖要求で、一時混乱したが、結局「2009年12月に難民を完全に帰すまで存続し得る」という許可を得た。 余裕を与えられて、現在ジャララバードへの移転が少しずつ準備されている。 しかし、一時取りざたされたように、決して閉鎖ではないことを強調したい。東部アフガンとパキスタン・北西辺境州は事実上一体であって、患者たちは簡単に国境を越えてやってくる。少なくともハンセン病患者診療については、日本が自衛隊を派遣せぬ限り、考えられるほど大きな影響が出ることはない。 |
国名 | パキスタン | アフガニスタン | ||
地域名 | ペシャワール市内 | チトラール地域 | ニングラハル州 | |
病院・診療所名 | PMS病院 | ラシュト診療所 |
ダラエ・ヌール 診療所 |
総数 |
外来総数 | 33,691 | 1,985 | 27,263 | 62,939 |
【外来の内訳】 一般 |
32,620 | 1,983 | 26,258 | - |
ハンセン病 | 74 | 1 | 0 | 75 |
てんかん | 528 | 0 | 230 | 758 |
結核 | 167 | 0 | 0 | 167 |
マラリア | 302 | 1 | 775 | 1078 |
入院総数 | 995 | 0 | - | 995 |
【入院患者の内訳】 ハンセン病 |
98 | 0 | - | 98 |
ハンセン病以外 | 897 | 0 | - | 897 |
外傷治療総数 | 3,471 | 82 | 1,165 | - |
手術実施数 | 0 | 0 | - | 0 |
リハビリテーション実施数 | 5,029 | 0 | - | 5,029 |
サンダル・ワークショップ実施数 | 9 | 0 | - | 9 |
検査総数 | 15,391 | 0 | 1,056 | - |
【検査内訳】 血液一般 |
2,810 | 0 | 94 | - |
尿 | 2,828 | 0 | 136 | - |
便 | 2,126 | 0 | 101 | - |
らい菌塗沫検査 | 114 | - | - | 114 |
抗酸性桿菌 | 408 | 0 | 8 | 456 |
マラリア血液フィルム | 1,409 | - | - | - |
リーシュマニア | 78 | - | - | 78 |
生化学 | 1,303 | - | - | 1,303 |
レントゲン | 675 | - | - | 675 |
心電図 | 205 | - | - | 205 |
超音波断層写真 | 1,131 | - | - | 1,131 |
心エコー | 0 | - | - | - |
病理組織検査 | 26 | - | - | 26 |
細菌 | 0 | - | - | - |
体液(髄液・胸腹水等) | 10 | - | - | 10 |
その他 | 2,268 | 0 | - | 2,268 |
内視鏡 | 0 | - | - |