ペシャワール会 ワーカー現地報告No.122
豊作のお知らせ
農業計画進捗報告
農業計画担当:進藤陽一郎
2006年01月18日
豊作のお知らせ
日本の水稲の栽培に成功!
昨年よりも冬場の降雪に恵まれ、夏場はダラエヌールクリニック周辺に多くの水稲栽培が復活しました。それでも酷暑期の水争いは激しかったのですが、PMS試験農場では担当農家が奮戦し、また飲料水用の井戸からの揚水も利用し、日本の水稲の栽培の大成功に与りました。

他に、40度を超える酷暑期のサツマイモの定植〜活着〜生育がまずまずの収量を得るに至った事や、大豆の安定的な栽培が確立してきた事、03年に移植した茶がかなり順調に成長している事、日本の馬鈴薯(メークイーン)が「美味しい」と現地の人達からの大きな反響を受けている事などが挙げられます。また、蕎麦粉や大豆の現地風の調理法が着々と開発されつつもあります。10月の茶の剪定の際に出た茶葉から、昨年を大きく上回る量の番茶を生成することができました。

近隣農家へのアピールの一歩:PMS農業計画収穫感謝の昼食会(05年11月17日)
記念すべきメイドインダラエヌールのお茶を近隣の人達と飲んだ11月17日の収穫感謝の写真より
2005年11月17日にカライシャヒ試験農場にて催された収穫感謝の昼食会は、過去3年の農業計画のあらゆる努力と経験の一つの結実であろうと思います。今後も、ダラエヌール住民の皆さんとの協調を維持し、人と人のつながりの上に立った活動を続けていきます。

前任の橋本さんの提案をやっと実現。多忙の中村先生と藤田さんや多くの日本人ワーカーを始め、ダラエヌールの住民の皆さんやPMS現地スタッフを招き、試験作物の試食・紹介を大々的に行ないました。中村先生も「ほんの数年前、このダラエヌールには畑はおろか、飲み水も全くなかった。今後も日々の糧の増産、生活の安定にPMSは尽力する」と住民へ力説。

個人的コメント
収穫感謝の日のメニュー一覧
僕は、ペシャワール会のアフガン農業計画の担当として仕事をさせて頂いていることに、本当に感謝しております。僕が今仕事をしている環境は、クリニック業務や井戸事業によって築かれた現地住民との信頼の賜物です。現地の農家、長老、少年と接するたびに、いつも自分が今日までのペシャワール会の活動の全てに支えられているという安心感と誇りを感じます。

収穫感謝の昼食会
一方、ダラエヌールの農村からみえるアフガンの将来には、僕は悲観的です。近頃は農村でも皆お金に世知辛くなって、「モノカネの援助」をしないPMS農業計画には皮肉を投げかける人もいるもので、それは歯がゆい思いもあります。それでも、どんな世になろうと、人の命を支える農業、農家、作物はきっとPMSの農業計画から生まれると信じて活動します。
今年度の作物の概況(一部)
2004年12月に播種した茶は、暑気の管理が難しい。未だ芳しくなし。
南瓜(春・秋の二期作)。春播種は猛暑との戦いの末に辛うじて収穫。秋は連作したこともあって病気の大発生に全滅。
ソバ
課題は「どうやって食べるか?」昨年度は日本流にソバを作ったものの、受けず。今年は蕎麦粉入りのナンを焼くなど、普及の可能性が見えてきました。
トウモロコシ(飼料用)
パキスタンの品種と日本の品種を栽培しました。
しかし日本の品種には予想以上に虫害が発生。やむを得ず農薬を使うことになりました。それでも日本の品種は「味がいい」と現地農家の間でも評判です。来年度は更に現地の人達に「これは美味しい」と唸らせるべく、日本のスイートコーンの栽培を試すことを高橋さんと決定しました。

アルファルファ
思いの他太く深く育つ根は圃場更新には大変。残る重要課題は確実な採取法の確立。今年は上手く行きますように。
サツマイモ
暑気の定植では収量こそ上がりませんが、高い活着率が出せました。最大の課題、冬季の保存は試験中。