アフガニスタンで教わった「挨拶」の意味
ジャララバード事務所駐在 紺野道寛
ペシャワール会報77号より
(2003年10月15日発行)
ジャララバードのバザール
「ジャララバードに来て、早や2カ月半が過ぎました。まだまだ右も左も分かりませんが、アフガン人スタッフ・日本人スタッフに支えられながら日々歩んでいます。正直な所、最近になってようやくPMSの事業が分かってきた気がします。水路や井戸・農業の現場を見て、改めてPMSの活動の幅広さに驚いています。

この2カ月半は、買い出し等でバザールに出る機会が多くありました。ペシャワールのバザールとは違い、小じんまりとしています。でも、砂埃と汚臭・喧騒と活気に溢れている所は同じです。

外出時は、必ず現地人スタッフに同行して貰います。オフィスの支払い等でいつも行く店があるのですが、そこの店員(デュカンダール)は、必ずペプシをご馳走してくれます。スタッフに尋ねると、「君が日本人だから。日本人はメールマ(客人)だ。自分一人で来た時は、(ペプシは)出ないよ」との事。このような客人接待を何度も受ける度に、日本との違い・文化の違いに驚きます。

アフガニスタンの挨拶。(左:パイロットファームで挨拶する目黒ワーカ)
例えばこちらでは、目が合ったら「アッサラーム・アレイクム(あなたに平安が訪れますように……という意味)」と挨拶をかわし、肩を抱き合い、握手をします。痺れる程手を握り手をブンブン振る人もいれば、キスをする人・腰に手を回し体を持ち上げクルクル回る人もいます。毎日何十回と繰り返し、誰かに触れる度にその力強さ・温かさから「ああ、生きてるんだ」という当たり前のことが伝わります。

もし日本でこちらの挨拶が流行したら、陰惨な事件、人を人とも思わないような犯罪が減るのではないか……世界中でこの習慣が定着したら戦争は無くなるのではないか……などと一人で空想しています。アフガニスタンに来て大切なことを教わった気がします。他にも、日本や日本人が学ぶべきこと、忘れてしまったことが多くありそうです。