水路現場写真(2009年7月16日受取)


 しばらく報告が途切れていましたが、熱砂の夏将軍との戦い、ゆとりがありませんでした。
 気温は時に摂氏50度に達します。6月中旬にガンベリ沙漠1,200m地点に水を通してから、岩盤工事の漏水対策に入りました。これが案外大変で、おそらく水路工事始まって以来の泥沼の大工事となりました。

 熱射病で倒れる者、機械の故障、水タンカーとダンプカーの脱走、作業員同士の喧嘩の仲裁、軍閥とPRTの妨害、いろいろありましたが、明日やっとQ2大池の漏水対策を終え、再び水を流します。

 貯水池の漏水対策とは、堤の横から浸みだしてくる水を地下水に転じさせることです。このために、裏法(外壁)を強靭な砂利や巨石で覆ってドレーンという溝を設け、表法(水側の斜面)にブランケットという透水性の悪い赤土を敷きつめます。というのは簡単ですが、量が半端ではないのです。400mの大池は、水深7m、堤の高さが14mあります。普通、ブランケットの幅は水深の約10倍で、斜面に敷く赤土の量は計算上、約2万立方メートル、ダンプカーにして2,500台分です。その上に砂利と巨石の輸送があります。土をとる場所が遠くなり、ダンプカーの逃走で、一時は途方にくれましたが、ジャララバード事務所あげて輸送力の調達に駆け回りました。この3週間、堤の造成以外に、何も覚えていません。

 10日前からやっと態勢が立て直され、猛烈な作業が続いています。月末には何とか横断を達成いたします。何とかハッピーエンドの写真をお届けします。
みなさんも、お元気で。


ブランケット敷設工事。機械力を集中して、総力で行われた。
堤防最下段は約160mの幅。7月15日。


完成したモスクのミナレット。片側は改修工事中。

★Dr.T.Nakamura★
中村 哲
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