水路現場写真(2009年7月7日受取)


ミナレットの完成

 ペシャワール行きを計画していましたが、想像以上の情勢になったので取りやめ、相変わらず現場に集中しています。モスクは主な工事を終えました。みなさんの数学の知恵試しをしたドームでしたが、やっとできました。お待たせしました。無い知恵を尽くしたこだわりの建設でした。

 レンガ積みについては、鬼木さんの伝授した方法(レンガに白く滲んでくる石灰を除去するもの)が大活躍しました。
 こうしてみると、モスクのドームは仏舎利塔、てっぺんの飾りは仏壇のロウソク立て、足場のついたミナレットは何やら五重の塔に似ています。やはり起源は同じだと考えざるを得ません。

 しかし、25年を振り返れば、ペシャワール会の歴史は建設の歴史、いろんなものを作りました。靴のワークショップに始まり、手術場、病院、井戸、カレーズ、堰、溜池、用水路、護岸工事、植樹、とうとうモスクまで作りました。建物はいずれなくなる日が来るでしょうが、やはり廃れないのは用水路(水)と素朴な信心。モスクは良い記念建設だったと思います。


ガンベリの西瓜

 ところで、年報で記し忘れた「農業関係」は、思わぬところから、思わぬ規模で、突出した成果が上がりました。「ガンベリのスイカ」です。写真には撮りませんでしたが、昨年12月、O分水路の開通を覚えていますか。麦には遅いし、トウモロコシには早すぎる。そこで、住民が植え始めたのがスイカです。
 これが甘くて大きく、しかも並みの量でないのです。毎日ジャララバードから、ダンプが沢山やってきて集荷していきます。初めは農民たちも予期せぬ豊作で大満足。しかし、とれるわとれるわ、積み込みが大変な作業となって、疲れてしまいました。膨大な量がジャララバードに流れたため、価格が半分に下落、最近ではカブールに送られてゆきます。カブールでも大人気らしく、「ガンベリのスイカ」は名物になってしまいました。冗談ではなく、本当の話です。
 私たちのティータイムに必ずスイカが届けられ、1ヶ月間食べ続けました。でも、種は日本のものだそうです。最近の出来事としては、ホームランに近いものだと思います。


半分完成したミナレット。モスク正面から。7月4日。


ミナレット近景。やはり仏具と関係があるのだ。


ドームの内装も簡素にしました。

★Dr.T.Nakamura★
中村 哲
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