水路現場写真(2009年8月1日受取)



通水作業完了のお知らせ

 8月2日早朝、「明日通水する。必要な作業を本日中に完了のこと。全ての重機、ダンプ、作業員を最終地点に集中」との指示が出された。突貫工事・最終日である。最終地点に文字通りアリがたかるように、皆が集結した。

 50°Cの熱風をものともせず、小生を筆頭に、一作業員からダンプの運転手、現場監督に至るまで、みな真黒になって働いた。その熱気は、かつてのゲリラ指導者をして、「対ソ連のジハード(聖戦)もこれほどでなかった」と言わしめるものあり。午後14時、作業員数名が熱射病で倒れ、あと数mの所で中断した。

 しかし、30分もあればできる仕事なので、明朝に完了する。
水は既に最後の水門(横断路3.0km地点、取水口から23.9km)の300m手前で待ち構えている。ガンベリ沙漠を横断して自然土石流の谷に流されるのは、

 8月3日午前10時(日本時間午後14時半)を予定。
「自然土石流路」は急峻な枯れ川で、長さ約3.5kmを下り、シギ村を貫通してクナール河に戻る。土石流といっても年に1度か2度、何年も来ないこともある。ここに常に流れる小河川ができると、マルワリード用水路はガンベリの灌漑だけでなく、シギ村全域の水不足を解消する。今年はコメの植え付けが多く、同村下流域は水不足が深刻。村民は首を長くして待っている。

 ガンベリ試験農場(350ヘクタール)は、本日より区割りを開始。一家族に2ヘクタールをあてがい、耕地の整備に入る。

明日午後の吉報を待たれたし。


最後の突貫工事。向こうに見える水門が、蛇篭護岸の最終地点。
砂丘のような丘が、沙漠の末端。(8月2日)

★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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