7月29日未明、突然作業中の沙漠横断路2,950m地点に水があふれ、作業地が水浸しとなりました。前日から横断路の始点に水を溜めていて、作業中の場所に行かぬよう塞いでいた土嚢が、水で崩れたのです。
水は一気に3kmを横断、それも並みの量ではなく、建設中の住宅に浸水し、PMS試験農場を潤しました。
6月のときは沙漠の1,200m地点まででしたが、今回は全行程に流れたことになります。嬉しいハプニングで現場は一時大混乱に陥ったものの、衰弱していた作業員たちが活気づき、地元報道陣が駆けつけてきました。水タンクの奪い合いがなくなって、殺伐な雰囲気が去りました。コンクリート作業、植樹の世話、土手の締め固めなど、どれをとっても水なしで仕事ができません。最近、水タンク車がダンプと共に逃走する例が後を絶たず、頭を痛めていましたが、今や手近なところからバケツで汲めるのです。
本日中に作業は正常化して態勢を立て直しました。「7月30日以前」は、土嚢の決壊で実現しました。現在、復旧作業を含めて、8月2日に「ガンベリ横断路完成」を内外に宣言いたします。すでに職員たちも祝日気分でいます。
現在、最も手を焼いているのがQ岩盤の貯水池の漏水処理です。これが成功せねば小生は生きて帰れませんので、何とか見通しをつけてから現場を離れるつもりでいます。でも、今日のハプニングでダンプや機械力を、岩盤工事の方に回せるようになり、一挙に片づけたいと思っています。体力の限界もあって、毎日が寝るか働くかです。水神さまにとり憑かれたのか、自分が水神そのものなのか、明けても暮れても水以外のことは殆んど考えません。ときどき日本を思い出します。
つい、目先の仕事に熱中して他の人の苦労を忘れがちですが、これはひとりひとりの協力があってこそできること、先ずは感謝を以って嬉しい知らせを届けします。
(写真は何れも本日7月29日のものです)

沙漠横断路2,850m地点。 左側、浸水した住宅。右手、PMSの農地。 土手が未完成だった。

皆、呆然と、しかし嬉しそうに浸水をみる。2,800m地点

PMS開墾地を流れる水。水は農場予定地の末端まで流れついた

第二農場前の水門から流れる水。水門はまだとりつけられていなかった。

第二農場を貫く流水。

沙漠の水遣りも苦行ではなくなった。

横断路2km地点。

横断路2km地点。

Q4貯水池。(450m)

Q3貯水池。

Q2貯水池。ほぼ完成したが漏水処理が残っている。

Q岩盤沿いの浸透水排出路設置工事。

排水路末端。浸透水は集められてO分水路へ注ぐ。
★Dr.T.Nakamura★
中村 哲
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