水路現場写真(2009年12月11日受取)



事務局のみなさん、
報告の続きです。

 湿地帯処理と排水路の拡張工事は思わぬホームラン。湿地帯の拡大は、調査すればするほど大きなもので、一大排水路網の建設となっている。湿害が以前からあり、長い内戦によって放置されていたことが明らかになってきた。この工事で面白いのは、避難していた住民が、日当を求めて難民キャンプから戻り、「知らずにやらされていた湿地帯処理の仕事が、実は自分たちの村のためでもあった」という話。本人たちも知らなかったのだ。

 軍閥の息のかかった村長は、初め「PMSマルワリード用水路の浸透水だ」と主張して賠償を要求していたが、大挙して帰郷した村民たちに圧倒され、沈黙した。郡長が現場を視察して喜び、「文句をいうなら逮捕する」と激しく村長たちを非難したそうだ。

 今年3月に始まった工事は、さらに上へ上へと網目状に進み、荒廃した村々がよみがえっている。作業員80名が従事し、村民自身が仕事をするので活気にあふれている。成果は予想せぬほど顕著で、シギ村上流50家族、カラテック村220家族が避難先から戻り始め、現在約400ヘクタール以上が復活した。これは吾々のPMS農場の約2倍以上ある。

 おそらく、完了までに1年以上かかるが、ほとんどがシャベルによる手作業だ。もう時間の問題だ。遠からず柳川に似たような光景の水郷になる。


半分水没していたカラテック村。帰ってきた村民の話では、かなり昔からで、やはり内戦の始った時期と一致する。同村では約2~3m水が引いた。同村のクワの木はことごとく根腐れしていた。12月10日



戻ってきた村民たち。12月10日、カラテック村



わずかな傾斜を頼りに、必死の作業が続く。土地は見る見る乾き、
麦作が間に合う。12月10日、カラテック村



拡がる麦畑。10年ぶりの耕作だという。12月10日、カラテック村


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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