水路現場写真(2009年12月28日受取)


事務局のみなさん、

 クリスマスまでには間に合いませんでしたが、2009年12月26日未明、遂に途切れることのない流れが、ガンベリ沙漠を貫き、シギ村に至る土石流路に流れ始めました! 不安を抱えた試験通水ではありません。紛れもなくクナール河の分流・「マルワリード川」です。
 あとは、分水路の整備と開墾作業、排水路の整備です。12月23日からカマ取水堰の最終工事が始められ、3週間で完了します。モスクは4週間を見込んでいます。今までQ岩盤周りに大半のエネルギーを集中していたので、他の工事が遅れがちになっていたのです。
 岩盤周りの漏水状態を点検しましたが、確認できませんでした。今秋、十数年ぶりと言われる激しい洪水が至る所で発生し、あちこちが決壊しました。しかし、脆弱な場所を知れたのが幸いしました。最も恐ろしかったのはQ岩盤周りの貯水池堤防の決壊でしたが、完璧な漏水処置、外壁の堅牢なドレーン工(堤体内に貯留する水を速やかに排出する工事)が施してあり、鉄壁の守りです。




ガンベリ沙漠の東端にある自然洪水路を流れる水 12月26日。
年に1~2回、すごい洪水が押し寄せるが、普段はカラカラだ。途切れない流れはシギ村に大きな恵みをもたらす。シギ村全域がこれで安泰である。苗木はガズで、約2㎞、この洪水路に沿って今年3月に植えたものだ。水遣りは苦心惨憺だったが、
この流路に落ちる水で、手間が大きく省けた。



Q2貯水池 12月26日。
長辺340m、周囲1,170m、堤防の高さ14.5mのQ2大池。頑丈な作りで、
もう漏水は問題にならなくなった。



Q3貯水池 12月26日。
Q2に次いで2番目に大きい。漏水が最も激しかった池だったが、殆んど観察されない。水深6m、最長辺200m、周囲720m。周囲に歩道がめぐらせてあり、
植樹をしやすくしている。左上に「平和丘」が見える。



Q4貯水池
貯水池というよりは「幅広い流路」。Q区域の最後の所。長さ400m



沙漠横断路 1150m地点(平和丘付近)。
2回の激しい洪水に襲われ、原形をとどめないほど崩れた。結論は膨大な洪水量を越流させ、人を住まわせぬことだ。このため、堤防を低くとり、洪水には通過していただく。すなわち遊水地である。右手に大きく窪地を作る。幅が余りに広いのでサイフォンは無理だ。洪水は10年に一度だから、そのつど浚渫すればよい。



沙漠横断路の末端水門
沙漠横断路の2.9km地点(取水口から21.4km)。最後の水門。今や水は、
途切れがなくなった。蛇篭水路の最終地点でもある。



上記水門からは、急傾斜で浅い流れが一挙に自然洪水路に注ぐ。
水路の作りは、砂の上に厚さ60cm以上の赤土混じりの砂利を敷き、締め固めたもの。固さはコンクリート並みだが、ソイルセメントに似ていて、ひび割れが来ない。かなりの流速にも耐えるスグレモノ。正面が砂利の丘陵で、赤土に埋まった砂利が大量にとれる。採石場から近いので、あっという間にできた。


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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