受信日:2010年01月06日



事務局のみなさん、

みなさん、新年おめでとう。
年の瀬はいかがお過ごしでしたか。
こちらは暦が異なる世界、年末年始も働いていました。
1ヶ月後に完工式を控えて全力疾走、追い込みに入りました。

 今週の1枚は、何といっても開墾地の仕事。小麦には間に合いませんでしたが、大きな工事が終われば、最後に機械力・人力を開墾に投入します。
現在、試験農場の開墾地は50ヘクタール、全体の4分の1ですが、灌漑路をめぐらせるのに忙しい所です。
 ガンベリ沙漠・岩盤周り、カマ取水口に精力を費やしましたが、いずれも終局に向かっています。途切れない水の流れがシェイワ郡全体を潤し、モスクは内装が終わり、スピーカーのとりつけ、寮の建設の地ならし工事を始めています。カマ郡全域(7,000ヘクタール)を潤すため、昨年着手したカマ第一取水堰の最終工事と共に、第二取水堰にとりかかりました。河の異常低水位が起きる中、堰の成否は人々の死命を制します。
この1ヶ月が、大詰めです。



ガンベリ・第二試験農場
第2農場の方は約20ヘクタール程度だが、水路の脇にあって、早々と開墾を完了、灌水を待ち望んでいた。現在、シャフタル(アルファルファ原種)を播いている。2週間ほどで緑が広がる。第1農場は180のうち、約30ヘクタールが地ならしを終え、
砂丘をならし、必死の作業が続いている。(1月6日)



第一試験農場は長辺が1200m、短辺890m。用水路から奥行きが深いので、
高い所に大きな分水路をめぐらせている。(1月6日)
一見、砂丘ばかりに見えるが、地面をならすと綺麗な粘土層が出てくる。
しかし相当の努力が要る。右手に自然洪水路があり、山際まで耕作できる。



沙漠横断水路1250m地点。激しい洪水の通過地点、土砂を乗り越えさせるように設計を変え、堤防を低くとり、遊水池を造成している。 沙漠とはいえ、水が冷たい。
それでも皆、キビキビとよく働く。お金も技術も大切だが、
用水路は彼ら無名の農民の、労働の結晶なのだ。(1月6日)



カマ第一取水堰の最終改修。冬の水位は取水門で35cm、夏は210cm。約2m前後の激しい水位差である。現地の者は、このクナール河を「レワネイ・スィンド(狂った河)」と呼ぶ。着工して1年、洪水を経て、堰は殆んど動かなかった。今まで崩れなかった堰はなかったそうだ。人々は吾々の仕事を畏怖の目で見る。
これも日本の斜め堰の着想。御先祖様がこの暴れ川を制したのだ。(つづく)


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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