受信日:2010年01月22日





湿害地の処理もほぼ勝負がついた。現在、浚渫用道路を建設中。主要排水路にそって道をめぐらし、橋を架ける。写真は湿地の中ほどにある地点。最も低い窪地で、下がった水位は3~4m。殆んどの水はシェイワ用水路の過剰供給によるものだった。現在同用水路の取水を制限し、この地域もマルワリード用水路に頼ることになっている。自作農たちが戻って、一部に耕作が始められている。土地所有が問題になる前に、浚渫路を確保する。回復した地域450ヘクタール、土質は日本の田んぼの黒土に良く似ていて、いずれ広大な稲作地帯となる。だが粘土層が厚いので、架橋の方法をずいぶん考えた。(1月7日撮影)



同地点の架橋。頭痛の種は基礎だった。重機やダンプを通すので、強靭でなければならぬ。湿地帯処理は今までF・G区で手掛けたが、いずれも表層の道路や盛土だけだった。水中ではどうなのか。実験を繰り返し、結局水面下泥層を厚さ2.5m以上、砂利の層で置換し、流水側を蛇篭で掩蔽すればかなりの重力に耐える。地盤沈下に抗するには厚く広いほど良い。万一多少の地盤低下があっても、
鉄筋コンクリートの板が強ければ大過はない(1月20日)



カマ第二取水堰。長さ60m、幅18mで堰を延ばす。あと少しに見えるが、これからが本番だ。流水を圧し潰してゆくと、堰上がりと共に、堰先端は激しい流れに見舞われる。普通の河床材料は洗掘され、対岸に届かない。片側からの捨石による突堤だけでは難しい。この後、堰先端に貯石してこれを切り離し、巨石を敷きつめながら対岸に至る。おなじみ「移動島工法」を数日後に開始予定。(1月20日)



対岸の根固め工。蛇篭580個を使用し、堰先端の激しい流れに
耐えるようにしている。(1月18日)



大量の水が流入するカマ第二取水口。水不足は一時的に解消したが、水叩きが作られてないので、コンクリート床直下に深い洗掘が起きている。堰の工事が
終わると、今度は水叩きの造成を行う。やはり新設より改修の方が手間がかかる。
(1月21日)



「いい年のオジサン、お兄さんが集まって、石運びリレーか」と笑ってはなりません。大石を河原から集め、蛇篭の中に詰めてゆくのです。一個一個の石は小さくとも、蛇篭に詰められると、巨石以上の働きをするのです。吾々も似たようなもの。今や蛇篭は、名実ともにPMSのシンボル。 カマ第一取水堰の最終工事。対岸の根固め工が不十分だったため、高水位の夏に先端が部分崩壊、今回は十二分に根固め工を行ってから実施予定。彼方の山並みがケシュマンド山脈。雪がほとんど消え、この季節にしては、この10年で最も異常。(1月17日)


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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