事務局のみなさん、
完工式にまで、とても間に合いませんが、見せても恥ずかしくないものになったようです。
だんだん分かってきましたが、カブールとジャララバードとの間は、連絡が非常に悪く、とくに一般農民の実情は、伝わらないことが多いようです。
貧困層の間ではPMSの存在感は絶大でも、行政側の間では、地方灌漑局を除けば、ほぼ関心がないように思えます。この大干ばつに対する危機感のなさが、やがて大きな動きに反映されるのは確実だと思います。特に今年の少雨、積雪量の減少は、私たちが観察を始めた2000年以来、最悪の状態となっています。
毎日620名が働く現場は、職を求めて東部アフガン中から人が集まり、それでもカードがもらえる数が限られていて、二千数百名が交替で日当を得ています。ガンベリ沙漠の彼方のラグマン州からは約200名が、わずか200アフガニを求め、毎朝2時に起き、3~4時間かけて歩いて現場につくそうです。ラグマン州もひどい旱魃で、食べるものがなく、町に日当を求めて出ていっても仕事がありません。
遊牧民の群もそうで、草地がなくなり、マルワリード用水路に続々と集まっています。完工式はめでたいことですが、全体の事を思うと、うす寒いものがあります。飢えた人々の群が、やがて回答を出すでしょう。
それでも、ここだけは守りたいと思います。
用水路の概要の更新版を送ります。これが最新のものです。
全長はT区が加わり、25.5㎞とします。これは初め灌漑分水路として6カ月がかりでできた1,250mですが、主水路と呼ぶべきで、訂正して報告します。
1週間があっという間に過ぎてしまいます。今週は大きな出来事は、カマ第二取水堰の仮工事が終わり、無事に堰が対岸の蛇篭に到着、70cm以上の水が、全カマ郡(7,000ヘクタール)を潤しました。少雨に不安を抱いていた住民は胸をなでおろしました。





★Dr.T.Nakamura★ 中村 哲
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7年を経て完成度が高くなってきた。(1月28日)