受信日:2011年1月7日/追加報告



カマ取水堰。カマの2つの取水堰は深掘れの谷で段をなして落ちる。
第一堰は240mの越流幅で、中州をはさんでベスード側と流れを2分し、第二堰への流量を
規定する。第一の流量が多すぎれば、ベスード側が安全になっても、第二の堰上がりが
激しくなり、夏の激流に耐えることができない。
先ず第一堰の安定越流高を決定した上で、第二堰の堰上げ高を決めねばならない。
最低水位の現在が工事の黄金時間。堰の工期を2週間とし、両者を一気に改修せねば、
工事全体が1年延びる。この1週間が山場。2011年1月2日



第二取水堰を下流側から見る。低水位で最低限の堰上げにせねば、
夏の洪水に耐えることができない。また、斜め堰は、対岸下流の洗掘を起こすので、
厳密な斜めではなく、緩やかな円弧を描いて、流れを河道中心に集める。
予測される深掘れ地点は、特別な処理をする。蛇行の状態、岸辺の性状でも
流方向は大きく規定されるので、数年間の観察で結論が出ることが多い。だが、
「最低必要限度の堰上げ」だけは厳守して夏の過剰堰き上がりを抑えねば危険。
第二堰の長さは冬で120m、夏で160m、今年は堰の幅を20~60mとして最終工事、完成を期す。2011年1月5日



堰の最終工事に当たり、コンクリート構造物である水門部との接合が問題となる。
下流側の護岸壁とのなじみ方で、成否が決まる。水門構造物に接してふとん籠を段状に組み、
背面に分厚い鉄筋コンクリートをうち、全体を岩の塊のようにすると安定する。
今まで、この方法で失敗した例はないが、大事なところは見えず、手抜きができない。
堰工事の前後は緊張の連続。2011年1月6日


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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