受信日:2011年1月17日


カマ第二取水門開放、本日送水開始

事務局のみなさん、

 2011年1月15日・午後2時45分にカマ第二取水門が開放され、一部の漏水個所を除き、予定通り本日カマ郡に送水が始まりました。堰の工事はまだ数日かかりますが、これを以って主要工事は山を越えたと考えて間違いありません。現在、堰の工事が終われば、「工期内完成確実」と言えます。

 また、カマ第一堰も3年目で最終仕上がりが成りつつあり、これによって同郡7,000ヘクタール(70平方キロメートル)の耕地にことごとく水が行き渡ることになります。

 さて、カマ郡の状態については先日述べたとおりですが、中には10年ぶり、20年ぶりに耕作可能になった地域の話を聞きます。また、2008年までは耕作地の大半が夏季だけの作付でしたが、四季を通じて農業ができるようになったそうです。これは大きな出来事で、「絶対に成功しない」と云われた地元の悲願をPMSが成就することになります。また、東部アフガンの大河川ぞいに限って言えば、ほぼ完成された適正技術ではないかと思います。PMSが8年かけて会得した技術の集大成と言え、ひそかにモデルケースとなることを期待しています。

 「カマ取水口ができた」という噂がたちまちかけ巡りました。本日は、事務職員がバザールを駆け回って祝いの駄菓子を買い集め、現場の500名に配るのに忙しかったようです。この事業が長く人々に恩恵を与え続けることを祈ります。また、各方面の協力を得てなったことに思いを馳せ、関わった全ての方々に感謝申し上げます。実際の仕上げまでは数カ月かかりますが、先ずは御礼まで。


平成23年1月16日




取水門直後の上段ふとん籠工は、水を見ながら作業する。埃がなくなり、作業員も
心なしか晴れやかな顔。陽の光を映して、水面(みずも)がまばゆく輝く。



取水口から700mの調節門。用水路本線の水は、幅1,600mmの3つの水門の堰板を乗り越えて
入る。底水は右手スライド式水門から排出される。スライド水門は用水路底より0.6m低く、
急流で土砂を流し去る。多少の漏水が見られたが、
これまでの貯水池と同じで、出来栄えは上々。



調節門送水路を下流側から見る。堰板をきれいに乗り越えて水が流れ込んでいる。
送水量は、ここで正確に測定することができる。上部施工はこれからだが、
埃まみれの作業とはお別れ。村井くんがデジカメを手に、祝いの駄菓子を配りに来ている。


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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