前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

ドゥルンタ用水路決壊部、農業省が施工を決定
PMSはジャララバード北部に戻って静観

先のお知らせで、「緊急事態」を伝えましたが、灌漑局と共に農業省が動き出し、事態は鎮静化に向かっています。

州知事が農民の陳情に慌て、PMSの緊急出動を要請したものの、行政内部は「行政として面目をかけてやる」との意気込みのようです。ここは長い目で見て、安定灌漑の重要性が意識される第一歩として、彼らの発意を尊重すべきだとの判断です。

問題となった現場は、ドゥルンタ・ダムの取水口から約4.5㎞地点、ソルフロド川を横断するサイフォン(約220m)下流端のカマ場から50~60m程度の土手の決壊です。

サイフォン管は無傷なので、復旧は容易です。

直接的には集中豪雨による用水路流量の急増ですが、遠因は排水設備と用水路土手の維持が疎かにされていたようです。また、この数か月間、集中豪雨まで雨が殆どなく、無理な送水を行った可能性もあります。

従って、PMSは従来通り、ガンベリ沙漠とカシコート、ベスード護岸の現場に戻り、工事を再開する運びとなりました。本日までバタバタと現地への出発の用意をしていましたが、被害状況は、伝えられたほどの大工事を要するものではないようです。

いずれにしても本件は他山の石、当方の力を蓄えておき、いつでも危急時に備えるべきことを痛感しました。報告した皆さんには心配とご迷惑をおかけしました。しかし、灌漑工事の需要は無限大にあります。未だ沙漠化の過程は、至る所で進んでいます。アフガン農村を守るため、今後も更に力を尽くしたいと思います。

九月下旬から、カシコート堰の完成と流域の安定灌漑をめざし、大きな努力が投ぜられます。これも決して小さな仕事ではありません。事態を御理解いただき、いっそうの御支援をお願いします。

平成25年8月16日 記

ソルフロド川横断サイフォンの下流側末端。カマ場の左岸側壁が崩壊している。老朽化している。
2013年8月14日

決壊した用水路土手。断面を見ると、送水量に比し、土手全体が脆弱。特に裏法・表法ともに、基礎が弱い。PMSがマルワリード用水路の初期、苦い体験を重ねたパターン。水田で外法側の基礎が軟弱地盤に化した可能性がある
2013年8月14日

下流側から決壊部を見る。暗渠からのトランジションの壁構造がサイフォン管と不連続になっている。旧ソビエトの工事は、かなり頑丈なものが多いが、このような危急時に、わざと自然河川に流れ込むようにしたのかどうか、意図は不明。復旧は、さほど困難と思われない
2013年8月14日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ