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連続堰最終工事を前に緊張
~シギ分水路完工~

今年度の秋冬の工事は連続堰完成が最大のものです。準備は怠らなかったものの、7月・8月の洪水の猛威は予想を超え、かなりの努力が要ります。

やはり直感的に不安のあった場所が傷んでおり、計画がやや修正を迫られます。とはいえ、大きな変更でなく、楽観的に見ています。見事に予想通り流れてくれたのは河道③で、山田堰の「中舟通し」に相当する場所です。この部分の造作が最も物量と工夫が要ると思っていました。水位が下がってから完成させ、一気にマルワリード側の改修にこぎつけます。2010年の中州流失から3年、この間カシコート側との紛争と和解、そしてカシコートの復興へと進展したことを思うと、感無量です。

ベスード第一堰を初め、他の取水堰は大禍ないですが、多少の補修があります。

成功を伝えたいのは、マルワリード用水路末端のシギ分水路で、約2㎞が途切れぬ流れとなり、シギ地方下流域は完全に安定灌漑を保障しました。また、同地は用水を直接クナール河へ排水するので、低地の湿害対策が著しく軽減します。来春までにシギ堰ができると、シェイワ郡右岸全域の仕事は、終息に向かいます。

その他1)カシコート既存水路拡張9.5㎞、2)ベスード第二堰建設が残る最大の懸案ですが、1)については、PMS=ペシャワール会の単独事業として直ちに始め、数年をかけて完成したいと思います。詳しくは、調査が終わり次第、報告します。

都市部、とくにカブールらの大都市とそれらを結ぶ交通路の治安は最低で、大混乱のようです。ペシャワールはもう危険すぎて、誰も寄りつかなくなっています。何だか騙された気がしていますが、PMS作業地は至って平和です。まだまだ気を抜けませんが、今後とも宜しくお願いします。

平成25年9月27日 記

連続堰の河道④,⑤間に発生した破堤。これはこれで自然流に近く、そのまま堰にして越流させてよいが、洗掘防止と交通路の確保が要る。復旧中州に発生した河道③は予想通り。
2013年9月26日

河道③の傾斜は理想的。増水時に河道②の余水が③に落ち、中心流を成す。どこかで見たことはありませんか。そう、山田堰の中舟通し(現在の魚道)に相当します。
2013年9月26日

河道④の交通路(橋)は大洪水の激流に耐えたものの、左側方に洗掘を生じ、激しい流れを作っている。水位はさらに低下するので、数週間待って、一挙にマルワリード側へ交通路を通す予定。
2013年9月26日

開通したシギ分水路の最終点。全線ちょうど2㎞。マルワリード用水路の分水路と言うよりは、「延長」と呼びたいところ。9月に入って途切れぬ流れとなった。
2013年9月26日

国道をくぐって、シギ下流域の約800ヘクタール以上を潤す。水路幅は狭いが、急傾斜なので十分な水量だ。現在、地主間で送水経路が話し合われていて、送水量を控えている。小麦は十二分、現在トウモロコシだが、来夏から水稲栽培も可能だ。
2013年9月26日

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