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連続堰・全河道を開放!
~堰工事終局へ~

連続堰は最後の架橋部工事(河道④)を終え、全ての河道を開放しました。折から少雨で小麦収穫の不安が広がる中、両岸の広大な地域の人々に安堵を与えました。

工事はまだ終わったわけではありませんが、後は思いのままに水位を調整できます。大きな山は越えたと見て良いでしょう。カシコート地域は着工から2年2ヶ月、マルワリード用水路側は10年9ヶ月です。クナール河の取水技術は、完全ではないにしろ、これを以て安定灌漑が可能なことが実証できたと思います。

シギ村落の上流部は、取水口の流失で住民が脅えていましたが、マルワリード用水路約12㎞地点(K-3水門)から洪水路(R4)に流し、何とか今春までを凌げます。新たな堰を造るより、用水路の流量を増す工夫をし、「シギ第2分水路」を考える方が早道だとの結論です。

連続堰が成りつつある現在、そちらの方が現実的になってきました。これも連続堰のおかげです。

明暗を分けたのは、スピンガル山麓です。アチン、ロダト、チャプラハル、ソルフロド、ホギャニらの各郡は、ごくわずかな河沿いの地帯をのぞいて、広大な農地が壊滅しました。かつてスピンガル一帯は、おそらく最も安定して、アフガンでも有数の一大穀倉地帯だったのです。

今、血なまぐさい抗争が頻発し、最悪の事態となっています。不明の武装グループが乱立し、対立をいたずらに煽る謀略の巣窟となっています。進行する一方の旱魃で、食が満たせないからです。哀しいことですが、これが現実です。

24日までに残る工事に目途をつけて、しばらく休みます。次回、連続堰全体、ガンベリ農場らの詳細をまとめて伝えます。

平成25年12月19日 記

第4河道の遮水壁を切った瞬間
2013年12月19日

架橋部から河道④下流側を見る。河道④は、約120m先で河道③と合流、約200m先で河道⑤と合する。全長505m(マルワリード側300m、カシコート側205m)全体の総石張り面積25,000㎡。渇水期の落差2.3m。
2013年12月19日

10年の苦労を知る者は、みな狂喜する。知らない者は、何故そんなにはしゃぐのか分からず、気でも狂ったかと心配したそうだ。これは知られざる役得なのだ。
2013年12月19日

工事の主力メンバー。護衛は一応制服を着ているが、元作業員をしたこともある地元出身者。
2013年12月19日

設置を終えたカンレイ村水車
2013年12月19日

床面仕上げを終了。12月21日に送水して確認。カンレイ村は有力な作業員の集団が村落を作り、水車設置を渇望していた。因みに、水車一基が10数万円、設置費用を入れても、20万円を超えない。これで数百名が養えると思えば、高いものではない。
2013年12月19日

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