前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

洪水の後始末、終局
ガンベリで食糧増産を本格化

昨年6月から9カ月間、洪水との戦いも終わりに差しかかっています。さすがにこの間の努力は、おそらく聞き飽きたかも知れませんが、果てしのないものでした。しかし、限られた機械力で皆一丸となって奮闘、やっと一息つけそうなところまで来ていますが・・・・。こんなことが二度と起きぬことを祈ります。

現在、ベスード護岸改修に集中、他方でガンベリ開拓に主力を移し始めています。予定では2月中に河川工事に区切りをつけ、しばらくガンベリの工事(主に排水路の整備、農場の充実)に力が入ります。植林と農業事業へ力点を移すことは早くから考えられていたのですが、洪水で足ぶみしていました。来週から大きな動きとなります。

これは4月の大統領選挙の絡みもあり、本当は急がねばならなかったのです。政情混乱によっては、食糧価格の暴騰があり、職員自身が窮する事態も考えられるからです。今年度の主な実施計画は以下の通りです。

1. 小麦・米など穀類の完全自給、小麦畑を拡大、今春は35ヘクタールで
    100トン前後の収穫達成を目指す。
2. 柑橘類(オレンジ中苗)7,000本の植え付け
3. 七面鳥、乳牛などの小規模な畜産を開始

今冬の圧巻は、オレンジ園でしょう。PMS農場と砂防林との間、長さ1.6㎞、約150ヘクタールがこれに充てられます。

ガンベリ全体の灌漑事業は、以下が主な点です。

1. 沙漠横断路(約2.5㎞)の改修(傾斜を見直して急流を作り、揚水水車の設置)
2. 給排水路網の整備
3. 植林事業の継続

当分、大規模な河川工事などは避け、3月からガンベリに皆集中します。とは言っても、小さな仕事は無数にあり、何年もかかりますが、やっと本来の目的であった農業事業に本腰が入ります。野菜や豆類、一部の果物(スイカ、ザクロなど)は既に自給で、今年から出荷を予定しているものもあります。来月から農業関係の報告が増えますが、ご期待ください。

なお、重要な懸案であった会計事務の引継ぎは、ジャララバード事務所の大きな再編で、着々と進められています。現在、焦眉の急がこの問題で、現地に日本人が来れなくなる事態も想定、真剣に取り組まれています。いずれにしても4月からの政情変化が一大転機となるかも知れません。でも見方によっては、これを機に「現地の自助援助」という理想的な形が、実現する可能性もあります。こんな時ですが、御協力を宜しくお願い申し上げます。



平成25年2月20日 記

ガンベリ農場・E区の小麦畑への潅水。今年は整地後初の播種だったが、大した肥料もなく、生育が旺盛。2000年に迫る著しい少雨・渇水の中、マルワリード=カシコート連続堰のおかげで、ガンベリ末端まで安心して畑作業に勤しめる状態となった
2014年2月18日

播種方法の比較研究も行われている。写真はC区で機械で蒔いたもの。まばらに活着し、結局一カ月遅れて再度まき、二度手間となった

同じ条件で人力で蒔いたもの。ほぼ均等に育っている。機械まきとの著しい差は、機械操作の不手際や機械の性能による可能性はあるが、慣れた手まきの方が現地に適しているということだ
2014年2月20日

マルタ(柑橘類の一種)移植。1メートル前後の小苗。ガンベリ農場D区の北側と砂防林の間。かつては砂嵐が吹き荒れていたが、やっと果樹を植えれるようになった
2014年2月20日

果樹園の潅水を支えるのは、二つの給水塔だ。元来砂防林のために設けられたが、年々樹林帯への潅水が減り、大部分は活着した。現在3週間に一度の潅水で十分樹林帯は保全できる
2014年2月20日

平和ケ丘にある第2給水塔
2014年2月20日

平和丘から望むいつもの砂防林の眺め。オレンジ園は砂防林の南側、幅100m以上、長さ1.6㎞の旧居住区予定地に植えられる。アフガン産の柑橘類は、ソルフロド郡が最大の供給地だったが、次第に収穫できなくなり、昨年までにほぼ全滅した。オレンジ園が実現すれば、ナンガラハル州全体を満たすほどの生産量が見込まれる。今年度は2年苗7,000本を植える。来週早々から総動員態勢で行う。実際には、根の強いオレンジを台木にして、成長後に接ぎ木でより甘い種類を得る
2014年2月20日

一夜にして開墾地を埋めた砂嵐は、もはや過去のものだ。紅柳の成長はいよいよ盛んである。平和ケ丘は水路より約16メートル高いが、それを追い抜くものも出てきている
2014年2月20日

ユーカリの伐採も積極的に進められる。ビエラやシーシャムで置き換えられているが、これも貴重な燃料である。但し薪としては二級品で、木質が柔らかい。薪の本命は紅柳だが、間もなく間伐材を利用できるようになる
2014年2月20日

出現した菜の花畑。実際には油は取らず、緑肥として土壌改良に植えたもの
2014年2月20日

菜の花に求蜜するミツバチ。ガンベリ沙漠に増え始めた昆虫類は多く、往時の日本の里を偲ばせる
2014年2月20日

ガンベリ南部の排水路架橋の基礎工事。網の目のように張り巡らせた給排水路は、ガンベリとその周辺だけで数十キロメートルに達する。しばらく、ガンベリに篭り、開拓を続ける
2014年2月19日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ