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突発的洪水、予断許さず
~全護岸を点検
カシコート上流の村で部分浸水
ミラーン安泰、嵩上げ工事中~

洪水はいったん引いています。

ミラーンでは徹夜の作業で侵食を食い止め、かさ上げが行われています。こちらの方は、「埋設水制」が威力を発揮して、侵食は観察されず、専ら溢水の不安で住民がパニック状態になっていました。現在、60~80㎝ほどの堤防かさ上げ工事が行われており、動揺を鎮めました。

しかし、別の問題があります。自然河道の拡大で取水堰の水位が逆に低下傾向で、秋までには取水困難となります。このことを予測して、石材を蓄積していましたが、水が引かないと変化が読めません。予定通り、秋冬の工事で堰の完成と河道流量の調整を行います。

カシコートでは、私たちの護岸工事上流端から約500m上流(取水口から約2㎞)で溢水が起きましたが、現在引いています。こちらは改修とは言えないので、別に新規の小プロジェクトとして州政府に申請、9月までには決着がつけられると思います。

カマ及びベスードの他の地域は、これまでの改修のくりかえしで強くなっており、不安はありません。連続堰も安泰でした。

マルワリード用水路流域では、スランプールで鉄砲水が発生、一部水路壁を改修中です。こちらは大禍ありません。最も破壊力のあるジャリババ渓谷の鉄砲水は、2013年に改修した「洪水通過橋」(幅15mから32mに拡大)が奏功して、全く影響がありませんでした。

職員の技術的関心は、護岸と土砂排出に集中し、やっと河周りの工事を任せられる時期が近づいていると思いました。災害の対応に際し、単に技術面でなく、自ら率先して見回りと発案を行い、祝日にもかかわらず作業を行う場面は、以前にはなかったことです。この点が今回最大の成果確認で、大いに評価すべきだと思いました。これさえあれば、多少誤っても、技術は後からついてきます。

御協力、どうもありがとうございました。

平成27年7月21日 記

続々と集まるベスード郡自治会の人々。夕暮れが更に不安を増し加える。実際には表層の砂利の浸食で、堤体内の骨格を作る巨礫は見えない。だが、過去幾度もの苦い体験(度重なる不手際工事による浸水、家屋流失)が、民心を不安に陥れる。
2015年7月17日午後6:30

第5河道と第4河道。第4河道の拡張工事が幸いして、結局溢水は起きなかった。しかし結果論であって、現場に居れば焦燥に駆られる。
2015年7月17日午後6:30

緊急工事直前、堤防天端の一部が冠水、さすがに肝を冷やし、必死の作業が行われた。2015年7月17日午後7:30

夜を徹して行われた巨礫による浸食防止。現在、堤防天端全体のかさ上げ工事中。溢水寸前の場所は、D0~D5、それより下流は影響を受けなかった。
2015年7月20日

D6水制付近から下流側を望む。幅を広げた第4河道が最大の流量で流れ、これより上流側の水位上昇を軽減したことが分かる。2015年7月20日

D12水制付近から下流を見る。越流型水制で流方向が第③河道に向かっている。
2015年7月20日

第②河道付近を見る。第③・④が主流となり、河道①②へ向かう水量は著しく少ない。連続堤防に沿って荒瀬ができ、河床は浅い。河床低下が起きつつあると思われる。2015年7月20日

D18~22付近。浸食が最も激しかった場所。ほとんど影響を受けなかった。
2015年7月20日

ミラーン取水堰(護岸始点から1,400m)。水位は変わらないか、かえって低下している。流れが緩やかなため、土砂堆積も著しい。他の河道の拡大によると思われる。8月から水位低下が起き始めるので、交通路を砂利で敷設しながら堰き上げ、秋の工事に備える。2015年7月20日

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