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マルワリード用水路全流域に再び集中豪雨
~ミラーン堰で水位低下、断水寸前
ミラーン堰、秋の改修準備工事を開始、
マルワリード全体の浚渫、補修工事を開始~

ミラーンの洪水の危険は去りましたが、今度はマルワリード用水路流域で激しい降雨がありました。

被害は取水口から600m地点のジャリババ渓谷、約2㎞、約3㎞地点の小渓谷、スランプール(約5~6㎞地点)と広範囲に及び、土砂が流路内に侵入しました。多数の貯水池のため大きな被害にはならなかったものの、土砂堆積が膨大で、現在フル稼働で浚渫作業が行われています。水路壁の崩壊は殆どありませんでした。

ミラーン堰では、水が引き始めると異常低水位となり、7月27日にいったん取水が途絶えました。先に予測した通り、「自然斜め堰」の堰幅が約1.5㎞、水位は非常に安定するのですが、以下が問題です。

●全体が浅い緩やかな流れになりすぎ、土砂が堰の前後に堆積しやすい。(砂州の増大、河床の上昇→洪水時に溢水の危険増大)

●中でも臨時の堰がある河道①の水深が浅く、より深い河道②~④の拡大が起きると、①の流れが滞り、限局して多量の堆積が発生。

●洪水流は極めて多量の土砂を含むので、上記1)2)を更に加速。

対策は以下を予定。

●河道①の河床を下げ、堰に急流を通過させ、頑丈な砂吐きを設ける。

●このために堰を河道②まで延長(約300m)し、河道②の流水を減じて河道①へ流し、①の流速と流量を増す。

●9月までは交通路を敷設しながら必要水量を得ることに努めて観察し、秋の本工事(10月~12月)で完成を期す。

これは技術的に新しい局面ですが、観察と推測が正しければ、何とか切り抜けられると考えています。「連続堰」で技術的に完成度が高くなったと報告したものの、自然は一筋縄でいかぬと思いました。

平成27年7月30日 記

クナール河流域の堰の水位は、ミラーンを除いて、変動しながら上昇。年間のピークにさしかかっている。対照的にベスード第一堰は、カブール河本川にあり、激しく変動しながら既に低下傾向を示している。ミラーン堰の例外的な異常低水位は、臨時の堰がある河道①の泥土堆積、他の河道の河床低下と拡大で、同河道の通過水量の減少と鬱滞が起きたためと考えられる。(本文参照)

貯水池はいずれ排水路を設ける計画だったが、盛土の圧密が心配されていた。造成から約6年、土手の固さは十分と思われ、浸透水もほぼ無視できるほどに下がり、来年度より大きな貯水池の排水路建設を開始する。
2015年7月26日

こちらは自然災害。鉄砲水が流入したH2貯水池(マルワリード約6㎞地点のスランプール)。樹林帯の成長で、破壊的な被害は軽減されている。
2015年7月26日

スランプール(取水口から約5.5㎞地点)の鉄砲水被害。同部では単純掘削の場所があり、徐々に蛇籠壁に置換している。2015年7月26日

マルワリード約3㎞地点。2~3年に一度、激しい鉄砲水が下る。植林が奏功して流路内への影響はなくなっている。2015年7月26日

D貯水池(沈砂池)の泥土堆積。排水路が良く機能していることが分かる。
2015年7月26日

洪水後に急激に水位低下を来したミラーン堰・取水門前(河道①)の土砂堆積。主には河道②の拡大が原因とみられる。2015年7月29日

堰の上に交通路を敷設し、堰延長工事の準備中。2015年7月29日

ミラーン堰護岸始点のかさ上げ工事。これによって溢水の危険は遠のいたが、現在逆に低水位が問題になってきている。2015年7月20日

ミラーン用水路の現在。ヤナギが活着し始めている。2015年7月20日

ミラーン堰付近の貯石場。秋の工事に備え、堰付近に巨礫を蓄積している。
2015年7月20日

以下、カシコートの状況です。PMSの施工場所は洪水の影響なく、護岸最上流端から約500mの区間で軽度の溢水が発生しました。

集中豪雨から3日、クナール河の水位が今夏で最高に達した。カシコート橋から上流を望む。2015年7月20日

カシコート水路の約1500m地点。かつての洪水進入路。越流型水制でよく流方向が変わり、蛇行・浸食はない。対岸はジャリババ洪水路。2015年7月20日

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