前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

クナール河寒し、ミラーン堰の河道開放を延期
~河道と砂州の安定、確実な方法を模索~

平成27年12月1日 記

以下が最終のレベル。砂州1・2の上流端は巨礫列のレベルで、その上に厚さ20~30㎝の砂利を敷き、交通路としている。工事の対象となった河道1、2、3Bは全体で700m、堰は444m、バカでかい。都江堰(四川省)に似ていると、事務局から指摘がありました。都江堰に比べてうんと小さいですが、確かにそうです。

監視塔から堰の作業地全景。真ん中に砂が残っているか、来週には消える。本日より全重機(掘削機6、ローダー1、ダンプカー12台)が堰に集結、戦争のような忙しさ。2015年12月1日

主幹水路は完成している。残るは交通路整備、植樹と排水路の造成だが、夏までにはできる。2015年12月1日

造成中の砂吐きⅠと河道①の堰。堰の石張りは終わっており、堰前縁は砂利を敷いてしばらく交通路に使用。今回は堰の形状も再検討された。前縁を幅広く水平に盛り上げ、段状に落差をつける。こうすると堰の下流端にかかる掃流力を減殺すると共に、前縁が強くなる。また、堰両端を弓状にカーブを描かせ、流水を中央に集め、中洲との接合部も安定させる。2015年12月1日

砂州2の全景。二つの堰に挟まれる扇状の形。全体を約1~1.5m地上げし、植樹で砂州表面を保護する。砂州前縁は堰に連続して幅12m、厚さ1.5~2.0mの巨礫層が敷いてある。2015年12月1日

以下、取水口周辺の話です。山田堰の砂吐きは非常によくできていて、冬の水量まで調整できることが大きな魅力の一つでした。地形の上で、完全には真似できませんでしたが、着想は本質的に同じです。

交通路確保も、ほぼ同様な形を踏襲しました。砂吐きに設置された倒伏式の電動水門だけは不可能で、堰板方式で代用しています。2015年12月1日

同砂吐きを前面から見る。砂吐きの溝は、幅1.5m(取水門と同じ堰板を使用できる)、深さ1.2mで4本、理論的には山田堰のものと同量を排水することができる。材木で冬の臨時架橋ができ、交通路にもなる。堰板の効果は満点。浸透水を約0.8m高く堰き上げ、工事中の送水にはほとんど影響なかった。2015年11月30日

堰板。取水門から転用。堰板は170×20×5㎝で19kg、水門番が軽々と手で運べる。水深3メートルまで折れない。必要なのは冬の渇水期だけで、洪水期の夏は取り外す。2015年11月30日

前面から交通路を示す。2015年12月1日

河道①の堰を砂州1のやや下流側から見る。1.平面で弧を描く接合部と2.段差をつけた堰体がポイントで、技術者や施工監督者の間で定着した。前縁に段差をつけた構造は、連続堰の第二河道で試され、異常高水位にも耐えた。二段目の堰体が水叩きを兼ね、掃流力を減殺するためだ。その後は全て、この形式が主流となっている。2015年12月1日

河道①-1の全体を堤防側から見る。2015年12月1日

砂吐きⅡを砂州1から見る。巨礫層の上に砂、砂利を敷き、繰り返し水をかけて締め固める。2015年12月1日

砂吐きⅡ。6門で排水、冬の架橋を兼ねる。2015年12月1日

砂吐きⅡを堤防側から見る。写真右の突起物は小水制で、下流の河道①-1へ流れる土砂を減らすもの。2015年12月1日

砂吐きⅡの両翼、砂州との位置関係を示す。2015年12月1日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ