前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ

ガンベリ主幹排水路、開通へ見通し

(2009年作図)

シェイワ用水路は元々排水先のない水路で、上記沼地が終点であった。
シギ用水路は、約70%以上がクナール河に排出されていたが、高低差が著しく、特に上流域が湿地化していた。 そこに多量の取水が行われると、シェイワ下流側で沼地の拡大、シギ上流域で湿地の増加が起きる。
アフガン農村では、水を取り入れるには熱心だが、排水が考慮されていない例が多い。 また、下流側ではカルシウム塩が多量に蓄積し、収穫に大きな影響を及ぼしていた。
シェイワ郡では、三つの用水路が重なり、複雑な様相を呈していたが、取水量の調節と排水路の整備が灌漑の成否を決定する。 初期は絶対的な乾燥化に対し、給水で多大の恩恵があるが、次第に下流側から湿害が出始める。 現地の土壌は著しくカルシウム塩を含み、湿地や沼地では高濃度となり、悪影響が出る。

浚渫開始直後の主幹排水路。 当時、両側耕地(既に不毛の湿地)より高い天井川で、浚渫により約1メートル、水位を下げた。
河沿い樹林(主にヤナギ)が伐採できず、全て手作業で行われた。
2009年4月6日

湿地の影響はひどいもので、ヤナギとユーカリを除く全ての樹木が枯死した。
2009年12月10日

年々耕地は拡大するが、湿害対策の重要性は最近になって、やっとシギ地域で共通の問題として意識されるようになった。
2016年3月1日全村の自治会メンバーが集結した。

実際には多くの村々が以前から望んでいたことだが、有力地主のごく一部が反対して実現しなかった。
この時は湿害地の各村が異例の圧力で臨み、一転して「断固たる工事支援・PMS保護」が衆議一決された。
3月1日はPMSにとっては、積年の願いを実現する記念すべき日となった。このような決議は強い拘束力がある。

工事は両側の農地を傷めないという厳しい条件。
水路中央を掘削、内法120㎝のU字溝を連結して置く。 両側の粘土質層を砂利で置換、その上にコンクリート板を重ねて基礎とし、巨礫または蛇籠を置いて根固めとするもの。
U字溝の幅は、実際の実験で決め、用水路水面の2m低下(800m地点)を確認している。
U字溝の長さは1.0m、重量約660㎏で、連結して両端を砂利で固めればほとんど動かない。

最終的な試験設置は合格、排水路の水位を2m下げ、現在着々と工事が進められている。
クレーン車は狭い村落で使えないので、代わりに掘削機を使用、そのためU字溝のサイズや重量も扱いやすいものにしている。
2016年4月11日

同排水路は3ヶ所で用水路を横切り、旧い水道橋がかけられている。
撤去して新設する方が早いが、おそらく一世紀以上前に作られた力作である。 できる限り保存を手がける。
2016年4月5日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ