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堰の現状

ベスード第一堰(カシマバード)。 取水口床面から水深3.2m、洪水は対面の単砂州を覆って越流している。
2015年2月の洪水破壊にこり、同年秋に第5次改修、厚く砂州上に籠を埋設し直し、堰長〈上下流の長さ〉を倍増、堰幅(越流する幅)を120mから160mに増し、かなり安定した。

板を外せば水地獄。
洪水や降雨の日は、水門番が速やかに門を完全に閉じ、洪水流入を許さない。
ベスード郡全体に低湿地帯が多かったが、最近、湿地は激減した。
同堰建設以前は、洪水の浸水が多く、生産性が低かった。 渇水期は逆に取水できず、不作に悩まされていた。 洪水時の度に、これだけの量が村に入っていたのだ。

カマ第二堰の現在。
取水門の水深は一時的に2mを超えた。
いつも問題になる巨礫の堰と砂州の接合部は、2015年10月の改修では、堰を砂州に埋設して籠で覆い、越流線を弧状に描いて延長、今のところ成功を見ている。
河道の合流部は幅広く巨礫層を敷き詰めた水叩き工が施されている。
対岸はベスード連続堤防で、樹林帯の成長が顕著である。

ミラーン堰。
越流が始まった砂州4。
河道③A・Bの分岐部は高く、水位が上がると河道③Aの一部が溢れて砂州を越え、河道③Bに合流し、表面を洗う。 昨夏の出水では、激流が下って砂礫を押し流した。
旧マルワリード堰の砂州消滅の苦い体験から、苦肉の策で「剣山粗朶柵」が登場、今夏最大の観察点のひとつ。
しかし、粒径の小さな砂利は既に流されていて、越流時の水深が極端に深くなければ、成功の可能性は高い。
1016年4月3日

河道①-1の状態を下流側から見る。
水叩き工を兼ねる巨礫の敷設は山田堰の着想。 山田堰では並列する各河道別に落差をつけ、水勢を減殺する(掃流力を減らす)。
ミラーン堰では河道を平面上で単純に分割し、夫々に段差をつけて流水の勢いを減ずる。 本質的には同じ。
但し、砂吐きの部分だけは、構造物末端の洗掘が安定するには、それなりの時間と小規模な措置が要る。
2016年4月4日

洪水が去った後だったが、連続堰の最新写真。
カシコート側の「堰中堰」が固定、越流線がコの字状で安定、最終報告では505mだったが、河道⑤が越流線を加え、全体の長さは軽く600mを超える。
心配された河道②も極めて安定。印象では、カシコート側二つ、マルワリード側一つ、計三か所の砂吐きの役割が大きい。 これは持つ。
PMSチームの後継があれば、何年でも使える。
次の写真とつなげて考えてください。
2016年4月6日

さすがにマルワリード堰は手がかかっただけ、感慨深い。
全ての堰の着想の出発点。 川中島も、ミラーン堰の「剣山」粗朶柵として生かされた。
岩盤側の地面を護るように、土砂が堆積している。

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