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堰の現状

堰(仮工事)予定位置。諸事情で、シェイワ側からからのアプローチができない現在、今冬は河道①内に発生した洲(X)まで(130m)を造成、経過を見る。
水量は河道①Aがやや多い。河道①Bは、B1岩盤に接したのち、砂州2上流で発生した砂利堆積線をはさんで、砂州2の右岸側(①Aと合流)と左岸側(河道③)とに二分される。
①Bの深い主流は幅狭く、みお筋を形成して①Aに合流、一部が河道③に注ぐ。

洲Xは、砂利堆積線に連続して発生したもので、砂吐きからの距離;約75m、長径;約60m、短径;約30m、河床材料は河道②とほぼ同様で、粒径30~50㎝の玉石が表面を覆っている。
河道③の河床は、護岸800m地点で4.5m下降、河道①の河床よりも低くなる。
堰は同水筋を20~25度、鋭角に横切って洲Xに至り、Xに沿って設置、Xの上流先端から砂州1に向けて湾曲する。
砂州1では、堰を数10メートル延長して砂州内に埋設、堰先端の洗掘防止策とする。
洪水吐は巨礫を使い、複数個所に設ける。

設計の要点は以下のごとし。
1.洪水水位は現水位(2016年11月3日現在=渇水期)から1.5~2.0m高、危険水位を2.5m高とし、水門・堤防高を3.5m以上とっている。
(クナール川の全体幅が約1㎞、洪水は低湿地帯に広がり、水位上昇が起きにくいが、固定堰による水位上昇を考慮。)
2.取水門床レベルは、旧取水堰より0.5m高くとり、同床レベルから0.85m低位置に砂吐きと砂利溜めを設置。土砂堆積を避ける。
(旧堰の残骸がことごとく砂利で埋まっている。低位置にとれば取水は容易でも、用水路内へ大量の土砂が流入、取水門を埋めつぶすことが予想される。)
また、異常低水位でも冬の取水ができるよう、ミラーン堰と同様、手動で堰板が置けるようにしている。
3.堰は全体を湾曲斜め堰とし、流水を河道中心に集める。
全体の堰幅約300m、巨礫で造成。洪水吐きは必須で、要所に巨石で造成する。
4.砂利吐きは;水門に隣接して設置、砂利溜めは傾斜をつけて同前部エプロンに連続、急流で排出を促す。
河床の低い河道③へ導く。洪水期を経て観察し、砂利堆積が著しい場合は、別途、巨石で洪水吐(土砂吐き)を増設

取水口作業場。床面のコンクリート打設を完了し、上部施工に入っている。
たたきを入れるとコンクリート床面積約1000平米強、5日をかけて打設、一時期の構造物としては記録的。
打設作業の遅れは、ひとえに溶接器械の故障による。
クナール河の水位はさらに低下、砂利堆積線とみお筋がくっきり見えるようになっている。
河川、特に①B河道の水量は予想よりはるかに少なく、施工の上では希望あり。2016年11月7日

砂吐きの設置風景。砂吐きは洪水吐を兼ねる。
床面は自然河床より低い位置で、水門床より85㎝低く、河道①Bの河床高に迫る。
異常渇水時には堰板で必要水位を得る。これでも「部分可動堰」とはいえる。笑ってはいけない。
電力も倒伏堰も望みがない状態で、他に方法がないのだ。山田堰でも一部にその痕跡が見られる。
堰板の溝は5㎜厚の鉄板を凸状に加工、定番となっている。床打設前に、溶接で鉄筋に固定する。これまで破綻例はない。
2016年11月1日

交通路敷設は約1000m地点を作業中。
護岸工事は700m地点、用水路がこれを追いかける。やっと用水路工事らしくなっている。
河道③の拡張は一段落した。用水路造成に必要な石材が既に置かれている。
2016年11月6日

交通路と護岸壁は、沈砂池Iの置かれる900m地点を工事中。
ここから2㎞進めば、しめきり堤の上流部に達する。
沈砂池は測量を終え、最終設計の段階。
名称の上で言えば、ここまでが頭首工(堰・砂吐き・取水門・沈砂池・沈砂池までの「急傾斜水路」)ということになり、PMSの本領。
2016年11月6日

進む主幹水路造成。先頭グループがレベルを取りながらライニングを行い、後を蛇籠組みグループが追いかける。
籠組みは本日からスタートした。速さは一日20m、10日で200m、100日で1,000m。
春までには沈砂池に着く。
2016年11月7日

ガンベリ主幹排水路も、手を休めずに続けられている。
天王山は1200m地点のシギ水道橋の通過だったが、2週間で水道橋を新設、頑丈な仕上げとなった。
200m進めば、ガンベリとシェイワで、さらに.中小の排水路網の水位を1.5~2.0mを下げ、一息つく。
2016年11月3日

水道橋は小ぶりだが、シギ堰の本流。既存のものより送水力を多くとり、頑丈に仕上げる。
内径2.5m、両側に歩道をつける。
2016年11月5日

ミラーン堰の現在。堰板方式の可動堰(=砂吐き、洪水吐)は前代未聞だったが、ミラーン流域の救世主となっている。
10月下旬にクナール河水量の異常減少で取水不可能に陥ったが、堰板を二列挿入しただけで、十分な水量を回復した。
本来ならミラバンが掘削機で掘って河岸を削り、夏の洪水に怯えなければならなかった。
同方式が最も成功した例となり、現在の工事に生かされている。
山田堰でも堰板で低水位を切り抜けようとした跡がある。
2016年11月1日

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