トピックス2020.11.17
PMS & PMS支援室 記
皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。
現地は心地良い気候になったようです。今年は、4月中頃にクナール河で洪水がありましたが、夏季の洪水はありませんでした。
10月1日の小規模の洪水時に、ミラーン堰の第2土砂吐き(砂州1~2間)が洗堀され、巨礫を投入し対処しています。1年を通してみると今年は洪水が少なく現在に至っています。8月1日にはマルワリード用水路のN区が横断する谷からの鉄砲水で用水路1,5kmが埋めつぶされ、改修工事を終了しました。
9月の報告のように»、マルワリード用水路の堰と取水門の改修工事は、上記の鉄砲水を受け来年の10月からに変更し、9月1日から用水路全線の浚渫作業に集中しております。
農地の復旧と共に用水路周辺は建設当時の数倍もの民家が増えています。用水路がガンベリ沙漠に到達するまでに、合計13の池がありますが、谷からの土砂が流れ込み堆積し人が簡単に入れるようになると、河の中州と同様に住民が農作物を植え始めるため、池の周辺に人家が多いところでは局所的に浅く浚渫をして早く下流側へ作業を進めるようにしています。
マルワリードⅡ堰(カチャラ堰)では、新ベラ延長用水路が樹木の水やりを残し完成しました。排水路建設と護岸の補強が継続されています。排水路建設はいよいよ末端部に入り、基礎工事はミラーン堰上流対岸まで到達しました。途中で架橋したり排水路同士の接合部に暗渠を造っています。元来現地ではコンクリート構造物の基礎工事は、後には見えなくなる所として楽観的に考える気風があるので気を揉みました。
マルワリードⅡ堰流域では、給水と排水を分離した事と護岸により耕作地が増え、今年は新開地ではスイカに続き、現在はトウモロコシ畑が一面に広がっています。職員がベラ村の農地で働いている人たちにインタビューをした動画が届きましたので、近いうちにホームページ等で紹介をしたいと考えています。一方、マルワリードⅡ堰の建設では、予定の灌漑面積を860ヘクタールで設計されているため、現在の灌漑面積を割り出し、取水設備に負荷がかかっていないかを調べる必要があるのではないかと思っています。
農業=ガンベリ農場
農場では10月1日に責任者のアジュマル ジャンと作業員たちが祈りを捧げ、稲刈りが始まりました。今年は、11,4ヘクタールに作付けをしています。
柑橘類では9月からレモン(チャイナレモン)の収穫が始まっています。今後はオレンジ等の収穫が本格的になっていきますので、山田堰の徳永さんや福岡県試験農場から研修をうけ、農場で初めて剪定をした担当者は心配しながらも楽しみにしています。
バザールで売られている野菜の種の品質が良くないため、良い種を自分たちで取る事を考えています。玉ねぎの植え付けの報告が来ましたが、このような栽培法がある事を初めて知り驚きました。ページ下部、写真報告をご覧ください。
医療-ダラエヌール診療所
9月の診療数:4.810名
マラリア治療:631名
新型コロナウイルス:来院者とPMS職員に感染者及び感染疑いはなし
中村先生の記念塔が完成しました。ジア先生をはじめ運営委員たちが記念塔の前で「皆、先生とずっと一緒にいます」と誓いました。記念塔には、何処からでも先生を見れるようにと、南と北側に先生の顔を彫った石板を、西側には肖像画が掲げられました。正面には、先生の言葉を入れた石板が貼り付けられます。
以上が、PMSの現在の主な作業状況です。
いよいよクナール河は、これまで造った堰や護岸の様子が見えてくる低水期になりました。職員たちが全堰の確認をします。中村先生不在の初めての時期を迎え、対処して行くこの四半期は私たち日本側も緊張しております。
どうか皆さまからのご助言と祈りをお願い申し上げます。
2020年10月15日
PMS支援室一同
PMS支援室一同
▼マルワリードⅡ事業は新ベラ延長用水路建設、護岸線全線8.9kmの補強工事、排水路4の整備全線が完了し、第二期の主要工事が凡そ完了した。排水路4では3,200m地点に横断路が建設されている。









【下】H遊水池浚渫後。長径は180m。谷からの土石流が流れ込むため、緩衝池としても機能する(2020年9月27日)。






