ペシャワール会 現地報告No.106
「サイレージオープンしました」

農業計画担当:橋本康範
農業指導員:高橋 修、稲田定重

サイレージを食べる牛(カライシャヒ)

サイレージ

サイレージ成功しました!
メールを書いている今でも興奮しています。
高橋さん、稲田さん、川口君やりましたね。

12月15日カライシャヒのサイレージ残り2基を同時にオープンしました。
・シートをはずして表面部はこげ茶色でかなり水分を含んでいた。
・表面部から深さ約50cmのところまでは赤、黒、青のカビが見られた。白くべとついたカビも見られた。
また、きのこの臭い、腐葉土のにおいがし、小さな虫もたくさん見られた。

牛が食べたのはこの下の部分(50cm以上の深さのところ)です。
この部分は
・酸っぱい臭い(梅干のにおいの弱い感じです)。
・全体としては明るい色。
・適当の湿り気があってさらさらしていた。
・体温より少し高めのあたたかさがあった。
開けたときは臭いと色が以前と同じだったのでまだだめかと半分あきらめかけたのですが。
いくらか掘り出して行くときれいな明るい色、そして適当な湿り気があるものが見えてきたのでそれを取り出して牛に与えてみました。すると、今回は躊躇することなく食べ始めました。
ファーマーのラティーフが言うにはそのとき牛はおなかは空いていなかったそうです。

実は前回オープンしたサイレージも食べ始めたということでした。前回私たちが確かめたところよりもさらに深いところを取り出し、乾かした後食べ始めたそうです。実際牛が食べているそのサイレージを見てみたのですが臭いは成功したサイレージと全く同じにおいがし、完全に乾いた状態のものでした。
カビやべとついたものは食べていないようです。ただし、このサイレージについては大丈夫かどうかはっきり分かりかねたので今後も注意深く牛を観察するようにラティーフに伝えました。しかし、5日間与え続けて0.5リットルミルクが多く出るようになったそうです。

今回のサイレージは確かに高品質というには少し開きがあるかもしれません。また、上層部の失敗部分もありました。しかし、確かに牛は食べました。とにかく本当にうれしいです。ほっとしています。
これでやっとスタートラインに立てたような気がしています。

今週末はブディアライの方をオープンする予定です。

こちらはようやく桑の葉の色も黄色さを増し、落葉し始めたものもあります。
カライシャヒのパイロットファームの周りの景色は日本の田舎の晩秋といった感じです。しかし日中はまだTシャツと現地服の2枚で充分なあたたかさです。日本の冬も厳しさを増してきたことと思います。
お体にはくれぐれもお気をつけください。
農業計画担当:橋本 康範
*事務局注* サイレージ:水分含量の多い飼料作物をサイロに詰め、発酵させて貯蔵した家畜の飼料のこと
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カライシャヒ

12月8日に小麦の発芽が見られました。しかし未だ全体の10%にも満たず、今後注意して見ていく必要があります。表面の土がかなり固まってしまっているので、もう一度潅水して芽を出やすくする必要があるようです。土壌中に有機物が十分あれば、土が膨軟になって問題は起こりません。少し長い目で見て有機物を多用しながら改善していく必要があると思います。

12月9日、10日アルファルファ、イタリアンライグラスの収穫をしました。
先週の3、4日に刈ったNo.3のアルファルファは4cmほど伸び、イタリアンライグラス(ワセフドウ)は7cmほど伸びています。アルファルファーとイタリアンライグラスの混播が順調に生育しています。やはり日本より暖かいように思います。一方順調な生育は、地力の消耗と連動しますので対策が必要になります。春の施肥に何をどのくらいやるか、現在検討中です。

ブディアライ

12月9日、3回目のラッキーソルゴーUの収穫をしました。来年は4月、条件が許せば3月に播種して5回刈りを狙いたいと思います。刈り取り後直接家畜に与えていく予定です。
飼料作物と有機物が不足していますので、イモ予定地へのソルゴーの鋤込み、菜の花の栽培等いろいろ工夫しています。

農業指導員:高橋 修、稲田定重



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