2006年度の医療事業報告
及び2007年度の計画

ペシャワール会現地代表・PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長
中村哲
ペシャワール会報92号より
(2007年06月79日)

PMS本院に入院中のアフガン難民の
患者さん母子(右は藤田院長代理)


先述の政情の変化を直接受けて、活動がやりにくくなった。 それでも、06年度はPMS基地病院を中心に、ラシュト診療所、ダラエ・ヌール診療所で87、467名(うち外来数81、770名、のべ外傷治療数4、797名、入院治療数900名)が診療された(表1)。
 2007年4月に出されたパキスタン政府からの要求は、事実上閉鎖を要求するもので、アフガン人医療関係者の活動が封ぜられるものであった。
 この背景には、米国からの圧力を受けるパキスタンの苦悩がある。性急な「強制帰還」、難民福祉事業の廃止は、リスクの高い賭けである。
 アフガン政府にとっても、行き場のない貧困層を抱えることは、大きな爆薬庫を抱えることになった。同じ行政でも、北西辺境州と中央政府との間には、大きな温度差がある。

 今後どうなるか分からないが、困るのは患者たちであって、粘り強く対処してゆきたい。


表1.各診療所の診療数と検査件数の内訳
国名 パキスタン アフガニスタン  
地域名 ペシャワール市内 チトラール地域 ニングラハル州  
病院・診療所名 PMS病院 ラシュト診療所 ダラエ・ヌール
診療所
総数
外来総数 38,837 5,464 37,469 81,770
【外来の内訳】
一般疫病
37,829 5,444 37,470 -
らい 38 0 0 38
てんかん 689 12 299 -
結核 241 1 0 -
マラリア 130 7 1,690 -
入院総数 900 - - 900
【入院患者の内訳】
ハンセン病
111 - - 111
ハンセン病以外 789 - - 789
外傷治療総数 3,451 223 1,123 4,797
手術実施数 7 - - 7
検査総数 17,848 - 4,702 -
【検査内訳】
血液一般
2,476 - 239 -
尿 2,915 - 694 -
便 1652 - 714 -
抗酸性桿菌 381 - 1 382
マラリア・リーシュマニア 1,688 - 2,839 -
その他 8,736 - 182 -
リハビリテーション実施数 4,937 - - 4,937
サンダル・ワークショップ実施数 15 - - 15


表2.PMS病院での検査数の内訳
検査総数 17,848
【検査内訳】 血液 2,476
尿 2,915
便 1652
らい菌塗沫検査 98
抗酸性桿菌 381
マラリア血液フィルム 1,590
リーシュマニア 98
生化学 1,648
レントゲン 2,880
心電図 478
超音波断層写真 1,901
心エコー 0
病理 0
細菌 0
体液(脳脊髄液・腹水等) 5
その他 1,559
内視鏡その他 167


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