アフガンいのちの基金No.40
「 ジャララバード混乱」

PMS看護部長 藤田 千代子
2001年11月19日(月)

ジア副院長は昨日(11月18日)、アフガニスタン東部の知事が前州知事ハジ・カディールに決まった事を知り、今週の木か金曜日にはジャララバードに入り、食糧配給が出来るかどうかを見に行けると喜んでいました。ところがジャララバード事務所と連絡をとると、タリバン撤退後に一番乗りしたハザラット・アリ派がジャララバードでは幅をきかせており、またシューラ(評議会)で SecurityChief of the Province Bordering Pakistan (パキスタン国境州警備隊司令官) の地位を得たハザラット・アリが、彼の派以外の派は武器を持ってジャララバードへ入る事を許していないので、新しく州知事になったハジ・カディールも今は全く力がないそうです。そのハザラット・アリ配下の者はジャララバードで略奪をしている様子。PMSの食糧倉庫と事務所にもずっと詰めています。今日はハザラット・アリが車両(ピックアップトラック)3台に積めるだけの小麦粉と油を取って行ったそうです。同郷のジャララバードの事務所に詰めているPMSスタッフが、ハザラット・アリの所へ苦情を言いに行ったそうですが、だだ笑って取り合ってくれなかったそうです。その後ハザラット・アリと同じ派の人が「ハザラット・アリが食糧を持ち出すことを自分が防いでやるから小麦粉を100袋くれ」と言って来ました。ペシャワールからはスタッフの生命が危険な中にあるので要求される事を断らないように指示しています。

 カーブルでは昨日18日に5年ぶりにテレビ放送があって、今の所、一日に3時間だけの放送だが、これから24時間放送するようしていくと、ニュースに出ていました。アフガニスタンでどのくらいの人がテレビを見ることができて、どのくらいの人が寒さと空腹に困っているのだろうかと考えてしまいます。
 
以上のような状況で、ジア先生のアフガニスタン入りは暫く見合わせる事になりました。
 

<参考記事> 11月18日付け パキスタン紙 DAWN "Chaos in Jalalabad"
http://www.dawn.com/2001/11/18/nat5.htm

ジャララバード混乱 (抄訳) (ジャララバード発 11月17日)

ヘズビ・イスラーム(ユナス・ハリス派)を支持するハズラット・アリ司令官の武装兵士5000名がジャララバード市内とその近郊の主要な建物・戦略的拠点を占拠した。ナンガルハル州知事のポストは多くの司令官が狙っており、様々な党派やかつてのムジャヒディーン組織と取り引きを繰り広げている。

その中で、ピール・サイード・アハマッド・ギラニ氏率いるアフガン全国イスラム前線 (National Islamic Front of Afghanistan) を支持するハジ・ザマン・ガムシャリーク氏はパキスタンの支持を得てこの地を治めることになったと言われていた。一方、同州の前知事で殺害されたアブドゥル・ハク氏の兄弟のハジ・アブドゥル・カディール氏が北部同盟の支持を受けてこのポストを勝ち取ろうとしているとも言われている。しかし、マウラビ・ユナス・カリス氏の支持を受けたハズラット・アリ司令官は既に主要な建物を占拠しており、他の誰よりも優位な立場を維持している。

このためジャララバードの状況は混迷を深めており、だれも住民の今後や誰がこの町を支配することになるのかわからない状態になっている。

アフガニスタン東部指導者たちによる評議会が金曜に開かれたが、未だに全員が受け入れられるような合意に至っていない。同市で木曜日 (11月15日)まで唯一活動していた国連事務所も現在閉鎖しており、このことがジャララバードの混乱を物語っている。

米軍は金曜夜、アルカイーダの拠点を狙ってジャラーラバード周辺に空爆を続けており、住民は爆撃におびえ、タリバン軍が撤退した後も何も変わらない状況に直面している。町は無政府状態から内戦へと向かいはじめているようだ。


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