アフガンいのちの基金No.79
「ジャララバードより井戸報告」

PMS水源確保計画責任者 蓮岡 修
2002年01月26日(土)
現地の水位はどこも下がり続け、数ヶ月前に比べても平均で30センチ下降している。特にロダット郡のバンダ村一帯では日に5センチずつ水位の下降が見られた。現在、ソルフロッド郡で10月後半から枯れてしまった120箇所の完了井戸に対する再生作業を始める一方、ロダット郡、アチン郡の既に手を加えた井戸への作業を行っている。地層によって水位の下降が違う為、地域によって今後の水位の大幅下降がないと推測される所を優先的にウォーターポンプ作業を開始し完成を目指し、その他の何時まで水位が下降するのか予想が立てられない場所に関しては、住民達による「枯れたら掘る」作業を繰り返していく方針で、夏季への準備を進めている。現在作業進行井戸は121本。これは以前作業地の拡大期に試した、組織的にコントロールできる最大限度数を上回っている。しかし殆どが再生作業なので現在までの作業井戸数にあまり変化はない。(1月25日現在660箇所)

 タリバーン政権が崩壊し、地方の政治グループが独自に自治を確立している状況で、犯罪の取り締まりも緩くなっているので、地方の村々での夜中の治安は極度に悪化している。最近も地方に事務所を持つNGOの事務所が襲われ門番が射殺され、一般の民家でも盗賊の襲撃が頻繁に起こっている。我々の12班あるウォーターポンプ隊も、地方で作業する場合は、メカニックが機械と一緒に泊り込んで作業をする事になっているが最近地方での略奪騒ぎが酷くなってきた為、地方政府に連絡し、各作業村から1名警備を取り決めで出させるように長老会議に要請してもらい、この案は村ごとに受け入れられることになった。

 現在でも井戸に関する陳情は色々な郡から届けられ、旱魃の影響が深刻なものになりつつある事が窺われる。最近では、僅かに水が流れる場所で現金収入が望める大麻などの栽培が目立つ。タリバーン政権が崩壊した後、これから新政権の秩序回復が実行されるまでこのような治安の悪化の継続は予想される。

 道具の中で、ロープ、ヘルメット等の輸入品が入りにくくなっており、代用品の考案を緊急に迫られている。物の値段に関してはアフガニの高騰で以前からアフガニで取引されていた野菜や果物などは2倍から3倍に値段が上がっているが、パキスタンルピーで取引されていた家庭雑貨、電気製品、道具類に関してはあまり値段が上がっていない。ただ、市内の家賃が高騰しており、2倍以上になっているところもある。これはアフガン再建に伴い難民が帰還するのを予想してのこと。
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