アフガンいのちの基金No.97
「ジャララバードより近況報告 その3」

現地会計担当 中山博喜
2002年04月01日(月)

お疲れ様です。
3月26日よりジャララバードに来ています。ペシャワールでの会計業務は、私が戻るまで藤野さんにみてもらっています。

 この数日間のうちに目黒さんよりアフガニスタンの現況、WSP(井戸掘り事業)等PMSの活動についての現在の状況を説明していただいた上で、ジャララバードオフィス、ロダット郡を視察しました。その中で私が感じた事、又実際に発生している問題について報告させていただきます。

 現在ソルフロッド郡、ロダット郡での井戸掘削作業は再掘削中の少数の井戸を残してほぼ終了している状態であり、大多数のエンジニアはアチン郡に集結、活動を行っている。前回、目黒さんからのレポートで、幾つかの井戸で労働者が以前に比べて非協力的であるということを報告してきたかと思う。実際にロダットにおいて、そのあたりの状況をオフィスの責任者に聞いてみたところ、解決に向かっているところではあるが、幾つかの井戸で発生しているということであった。その理由として幾つか考えられる。

1. ロダットは他のエリアよりも比較的中心都市(ジャララバード)に近いこともあって多数のNGOが入ってきており、住民たちがNGO慣れし始めている。 (NGO団体が何でも要求を呑んでくれる。何でもしてくれると再び思い始めている。)

2. 問題の起こっている井戸はすでに何度か再掘削を行っているところばかりで、労働者達がダレ始めている。

 その他にも幾つかの原因は考えられるが、大きくはこの2つによるところである。2. の問題について実際に現場に行ってみたが、今の掘削が4回目だという所もあった。エンジニアに聞いてみると、とにかく水位を確保するのが難しいとの事であった。以前私がこの地に配属されていた頃から、これらの井戸は同じ問題を抱えていた。なかなか水が出てこない井戸であったし、出てきてもすぐに涸れてしまっていた。現在の井戸の深さは50メートルに達しようとしている。井戸が涸れる理由としては周囲の人口が多いことなどが考えられるが、真相はエンジニアにも分からず「涸れては掘りなおす」の繰り返ししかないとのこと。

 エンジニア達は「どうすれば、もっと住民たちとの協力体制がとれるか」という問題について各々自分の意見を持っており、この問題を解決しようとしている。その中には「この場所は他の場所に比べると容易に水を確保できるようになったし、他のNGOも入ってきた。現在掘削中の井戸が終了し次第、事務所を閉鎖してはどうか。」という意見もあるようだ。

 一方、ジャララバード統合オフィスの状況はというと、大小さまざまな問題が毎日のように発生しているが、職員全員で必死になって解決しているといった状況である。事務長が体調不良のため副事務長が事務的問題に取り組んでいるが、あまりの仕事量にプレッシャーを感じている。人員不足のうえ、彼のようにアレンジできる者が他にいないということもあって、彼の仕事量は一向に減らせそうにない状況である。今後さらに忙しくなるであろうことを考えて、目黒さんも少しでも彼の仕事を減らそうと、人員の確保、教育を考えている。

人員不足は会計セクションでも発生している。現在、2人が会計作業を担当している。井戸の周囲から臨時で雇う労働者への給料日が月2回(2週間に1度)、その他常雇いメンバーへは月に1度の給料日がある。会計担当は、延べ1460人分の給料を準備していることが分かった。もちろんそれとは別に毎日の支出の準備、チェック、月間会計報告作成など多大な量の仕事をこなしている。給料の準備については、勤務時間内での処理では到底間に合わない。会計担当が深夜までかけてある程度準備、さらに周りにいるエンジニアたちの協力を得てギリギリ準備完了といった感じである。今後他のプロジェクトが本格的に始まることを考えると、これもまた人員の確保等、早急な対策が必要である。

 ロダットに行った時、白い雪が山頂に積もっている風景を目にしました。今年は去年に比べると降雪量は多いようで、誰に聞いてもその様な答えが返ってきます。日中の気温は日ごとに上がり始めています。少しでも長く、この白い風景が続くことを祈るばかりです。



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