井戸と用水路建設の事務方で奮闘中です
ジャララバード事務所駐在
大越 猛
ペシャワール会報78号より
(2003年12月17日)
「縁の下」で雑務全般を担当
ジャララバード事務所スタッフ
会員の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。私は勤務開始以来7ヵ月、ジャララバード事務所のオフィスセクションに配属され仕事をしています。

水源確保、用水路建設、農業計画はいまや正規スタッフ約150人、日雇い労働者約800人を抱える大所帯となっていますが、オフィスセクションはこれらの人達が現場で働くのを裏方で支える縁の下の力持ち的存在です。

具体的には、機械・車両・道具などの一切の必要資機材をアレンジしたり、各役所への許可申請・折衝などを行ったり、スタッフの採用・昇給など人事を管理したりと、現場で働くスタッフが最大の成果をあげられるように雑務全般をこなしているといえます。私もそうしたオフィスの性格を受けて、その時々に必要とされる様々な仕事に携わっています。

これらの仕事の多くはそれ自体日本人でなくともできるものですが、最近日本人である自分が彼らとともに仕事をすることの意義があるのだと実感することができるようになりうれしく思っています。
それはPMS(ペシャワール会医療サービス)を物心両面から支えてくださっている会員の方々の想いを少しでも代弁することです。

ときには「説教」も…
水路護岸工事。2003年12月7日
こんなことがありました。活動の様子を記録に収め、日本側へ伝えることも私の仕事の一つですが、ある日用水路の掘削の様子を映像に収めるために、工事現場を訪れたところ、5、6人のスタッフが集まっていました。私が来訪の目的を伝えたところ、彼らは笑い出し「何だ、撮影にきたのか。そんなのは遊びに来たようなもんだな。俺達は大変な仕事をしているのに、君は呑気なもんだなあ。」というのです。

私は、一瞬耳を疑いましたが、気をとり直して言いました。「君達は自分達が全て独力で仕事をしていると思いこんでいるようだけれど、これらの工事費用や君達の給料を負担しているのが誰なのか考えたことがあるのかい。これらのお金は全て、日本のドナー(寄付者)が苦労して自分で稼いだお金から善意で削って出してくれたものなんだ。そうした人々の厚意に応え、工事の進捗状況を報告する仕事が本当に遊びだと思うかい」。彼らは、ハッとした様子を見せ、すぐに謝ってくれ、それからはとても協力的になってくれました。

また、こんなこともありました。ペシャワールの病院と連絡を取り、必要なアレンジをするのも私の仕事です。必要に応じて現地スタッフの人にも話をしてもらうのですが、通話料が非常に高く、要領良く話さなくてはなりません。そのことをある現地スタッフに頼むと、彼は「大丈夫、高くても僕や君のポケットから出ているわけじゃないから気にすることなんか無いよ」と笑い飛ばす始末。そんなときにも、恥ずかしながら私の説教が始まってしまいます。

会員の想いを伝えることの大切さ
もちろん、彼らに悪気があろうはずがありませんが、こんなやりとりがときどき交わされます。日本へ行ったことのない彼らの中には、PMSの運営資金が、アフガンの困った人たちの役に立ちたいという、多くのドナーの善意の結晶であることに思いが至らず、どこからか無尽蔵に湧き出て来るかのように思い、それがときにコスト意識の低下や、仕事ぶりに影響することもあるようです。そんなときには私も日本人ワーカーの1人として、言うべきことははっきり言うように心がけています。

現地のスタッフと共に仕事をし、ドナーの皆さんの想いを伝えていくことで、提供してくださったお金が実際に少しでも多くの成果となり、アフガンの困った人々に恵みとして届くようにすることも大切な仕事だと考える今日この頃です。