受信日:2010年03月22日



事務局のみなさん、

お疲れさまです。
 当地は突然初夏がやってきたように、陽射しが強いです。
まもなく大きな工事が終わります。提出した予算案に近くなるのは確実です。
嬉しいけれど、何だか淋しいような・・・・
日本に帰ると忘れるので、少しずつまとめを送ります。

 今月で全ての大きな工事が終わります。ほぼ2010年度予算案に示した展開の通りになりそうです。

1. Q区域(ガンベリ沙漠岩盤周り)は2年2カ月をかけて終了しました。この間改修工事を3回重ね、ブランケット工、ドレーン工を施工、用水路中最も難関でありました。第三期改修工事(浸透水処理)は2009年10月6日に開始され、2010年3月13日に完工。延長されたT区域(1、280m)は3月7日に完工。主要送水網を全て終えました。これにて、用水路主幹は25.5kmとなります。

2. 湿地帯処理は、主要排水路約12km、2009年3月16日に初め、浚渫道路を建設中。しかし、4ヶ所の架橋を終え、もはや重機の要る大工事はありません。ガンベリ沙漠の耕地化に伴う排水路の整備でしたが、図らずも昔からの湿害地をついでに消滅させ、450ヘクタールを回復しています。付属する小さな排水路は時間をかけ、手作業でやれます。

3. S区域(ガンベリ沙漠横断水路)は、3月13日から、水路沿いに簡易道路を敷設していますが、これも数日で終わります。

4. カマ取水堰;2008年12月15日に第一取水口着工、2009年2月26日に第一期本工事を完了。第二取水口は仮工事を同年3月4日に終えました。2009年6月と8月の増水期に二回の小さな改修工事を第一取水堰で行い、2009年12月23日に第一取水堰の第3期改修で抜本的な対策をとりました。同時に第二取水堰の本工事に取りかかっていました。明後日(3月24日)、完了します。

5. ガンベリ沙漠の開拓;これが今後大きな仕事です。再測量で第一農場約180ヘクタール、第二農場18ヘクタール。計198ヘクタールです。うち耕作可能なのが、3月19日現在、第一農場16ha、第二農場18ha、計34ヘクタールです。現在、スイカ3.5ha、ビエラ2.5ha、落花生0.5haを植え、5~6月にかけて、トウモロコシ・コメの作付を全部に行います。菜種は時期遅れでしたが、第二農場は満開できれいです。
しかし、全くの新開地なので開墾に相当な時間をかけます。



満開の菜種畑と分水路。こうして眺めると、何だか沙漠らしくなくなってきた。
第二試験農場にて。2010年3月22日



やはり水路が見える場所がよかろうと、第一農場の入り口に置きました。
両側に花壇を作っています。3月22日



カマ第一・第二取水口。既に増水が始まり、工事は間一髪のタイミングでした。
第二取水門は、PMS堰板方式に変え、頑丈な補強工事を行っています。
月末に住民と共に完工式を祝い、水門の管理をシューラ(長老会)に委ねます。
水量調整は昨年から2名をPMSが訓練しており、第二取水門常駐の水門番は各村から交代で派遣されることになっています。これでカマ郡全体の渇水、
洪水の心配がなくなりました。この方式が地域にほぼ定着しました。3月22日



カマ第一取水堰の末端(第三次改修、中州対岸の根固め工)。幅20m、長さ約80mに蛇篭を敷設し、うち半分が水底に没し、洗掘を防ぐ。堰の工事はこれを以って
完了。機械が渡せないので、専ら手作業で3カ月かかった。蛇篭800個を使用。
3月22日



カマ第二取水堰は時間との勝負。中州対岸の根固め護岸の苦肉の策。籠を井形に連結し、その中に砂嚢を詰め、表面を直径20㎝以上の玉砂利で覆う。
九州の河川の護岸法を模倣したもの。砂利の中州の方を緩い勾配にして、
流速を落とす。3月7日


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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