受信日:2010年07月23日



事務局のみなさん、

お疲れさまです。
 7月21日夜半、ニングラハル州、クナール州全域で雨が降りました。クナール河の水位がピークに達したと思われます。この後、急激な水位低下が起きるのが例年の経過です。
高山の残雪が解けだして消えてしまうからです。今年はクズクナール全域で水稲の作付けが盛んですが、今秋~今冬にかけて、渇水の可能性があります。

 戦雲もジワリとジャララバードに迫っていますが、農民たちは水が生死の分かれ目、戦争どころではありません。秋・冬の抜本的な改修で、カマ郡の水問題に終止符を打ちたいと考えています。 お盆前後は日本に居ます。



最近のモスク。水遣りの怠慢を一喝してから、芝植えが始まり、
木々が生き生きとしてきた。ちょうどカイバル峠で関税の問題が発生して、
セメントの供給が途絶え、寮の建築が一時ストップしている。作業員に一斉に
芝生造成(モスク左手)、植樹を行わせている。アフガニスタンでは
緑がないと物足りない。金曜礼拝は、家族連れの楽しい時でもある。
敷地内を緑の絨毯で埋め、美しい色彩の憩いの場を作る。2010年7月22日



田植え後1カ月。満足すべき成長。畦道には大豆が植えられ、かつて日本でも
見られた光景。カエルの進出が目覚ましく、稲につく虫を食べる。
草丈は60~70cm、田の草取りを終え、花がつくのを心待ち。
去年の状態を想像できない。 ガンベリ沙漠第一農場にて。2010年7月22日。



第一農場遠景。近くで見ると大きいが、開墾はまだ1割も終わっていない。
手前が成長するガズ(紅柳)の防砂林。第一農場は南北1,300m、東西1,122m。
砂丘ならしが終盤を迎え、灌漑と排水路が縦横に張り巡らされる。ガズの手前が
自然土石流路を流れる用水路からの水。2010年7月22日。



7月21日夜半、ニングラハル州全域で降雨。河の水位が今年最高に達した。
心配されたカマ取水口の水位は、第一水門で1.8m、第二水門で2.6m上昇。
秋冬の本工事に備えて観察を続 ける。この2つの取水口が、カマ郡7000ヘクタールの命運を握る。洪水は避け得たが、余裕高と水門位置が問題。2010年7月22日。



沙漠の住人はヒトだけではない。稲田に棲息し始めたカエルたち。
体長1.5cm前後。イネにつく小さな虫を食べる。2010年7月8日撮影。


 下写真はハンミョウの一種で、日本ではルリハンミョウが近似種。調べてもらったら、学名はCicindela sexguttataというものに間違いなさそう。水が来てまっ先に来た昆虫の一つ。肉食性なので、水辺の小動物を狙ってきたものらしい。Q2貯水池で。 写真は原寸大。興味のある方は、以下に詳しく出ています。 http://cicindela.wordpress.com/2008/10/27/cicindela-sexgutata/ http://larryjernigan.com/4/med/BE0408-3377.htm


アフガニスタンでは未発見の種も沢山いると推測されています。しかし、現に
住んでいた訳ですから、「発見」とは「その筋のヒトの間で知られる」というに
過ぎません。確かに、人も自然も他の世界で知られないことの多い
土地柄ではあります。


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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