受信日:2010年08月01日



事務局のみなさん、

 水は引き始めました。しかし、未曾有の流量が既存の河道を変えてしまい、あちこちに爪痕を残しています。私たちにとって大きな痛手は、マルワリード取水口付近の中州が消え、冬の低水位に怯えなければならなくなったこと、カマ取水口対岸に新たな河道が発生し、護岸工事(約2㎞)を同時にせねば完成しないことです。

 これまで二正面、三正面の作戦が非常な負担となっていて、今年カマ取水口だけに河川工事を集中できることを喜んでいました。しかし、マルワリード用水路の冬の渇水は、灌漑流域3,000ヘクタールに致命的です。今年もまた、例年以上に厳しい冬になりそうです。誰のせいでもありませんが、「やらねば、やられる」という事態です。クナールの河川工事に比べれば、外国軍の軍事活動などは、まるで児戯に等しく感ぜられます。

 小生は秋の工事のお膳立てをして8月7日の講演会に間に合うよう、一旦帰国します。9月中旬に現地に戻り、軍隊以上に激しい活動を開始したいと思います。カマ、ベスード、シェイワを「死守する」とは修辞ではありません。事情をご理解の上、どうぞ御協力下さい。
 詳しくは帰国してお話します。





7月31日午前9:00 つぶれた川中島と対岸中洲の消失(植樹だけが残っている)


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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