事務局のみなさん、
日本から来た3人、みな元気です。
明日から再び猛烈な努力が始まりますが、この一週間の主な出来事です。
なお、添付のように、洪水被害の復旧と同時進行、PMS単独実施の方針を固めました。
皆さんには大変な重荷でしょうが、昨年並みの支出を維持すれば出来ます。
なんとかやりましょう。
昨日9月23日、村井・杉山・石橋の3名が無事に到着しました。
日付を見て驚いたのは、小生もまた僅か1週間前に到着したということです。ひと月経ったような気がしていたのです。
復旧作業は、まだ続いています。大洪水に続いて、東部アフガンでは異常な頻度で局地集中豪雨に見舞われました。マルワリード用水路付近だけで、鉄砲水が20回以上、用水路の送水は持ちこたえたものの、土砂があちこちの箇所で流入しました。これによって、人里の被害は殆んど発生しませんでしたが、その分だけ用水路内のトラブルを引き受けなければならぬということです。
小生が日本を出る直前から、「診療所を除く全職員、作業員700名、浚渫作業に集中」と指示、断食の厳しい条件の中で、事務所職員もシャベルを持って働きました。折からコメの熟成期で大量の水が要ります。貴重なイード休みも返上し、皆必死で働きました。小生が到着したのはそんな時でした。
クナール河の方は、驚くべきは、日を追って水位が下がり続け、9月18日までに、シェイワ、シギ、ベスード全体で水が完全に途切れました。原因は河の水位の急速な下降だけでなく、100年に一度という大洪水が上流から大量の土砂を送り、取水口を埋め潰してしまったのです。9月19日から異例の速さで機械力を各取水口に集中しました。シェイワ取水口は、3年前に回復した旧河道1.2㎞のうち480mが巨大な礫石で埋め潰されていました。とりあえず、隣の分流との最短距離100mを掘削して水を得、9月22日に灌漑が再開されました。しかし、まだ9月です。1月まで水位はさらに下がり続けます。一グループを張りつけにして、幅50m、1.2kmを掘削、旧河道の完全回復を目指しています。
ベスード郡のカブール河側は、既に残った職員たちの努力で仮工事を開始、何とか取水を回復していました。こちらは流れが緩やかなので割と簡単に済んだそうです。PRT(米軍の地方復興チーム)が関与してPMSが手を引いたクナール河側の取水口は無惨、即時改修が悠長な手続きに縛られて実行できず、かといってPMSが介入する訳にもゆかず、渇水状態がひどくなり、相当な範囲の農作物が被害を受けています。
このため、カマの工事を一時中断することも考えましたが、綱渡りのような重機の転用で工事が続けられています。カマ取水口の対岸地区は、機械力を急きょ増強、来週から開始されます。増水の始まる3月上旬まで、カマ第二取水口・1㎞の主水路建設、その対岸1.8㎞の堤防築造は絶対に終了せねば、多くの地域に被害が起こります。少なくとも増水前に主要工事を終えたいと思います。
カマの計画は尋常でない物量が必要なので、公的筋との協力を予定していましたが、やはり調整に時間がかかります。適切な工期も迫っており、基本的にPMSが自前で実施する方針を固めました。自然は人を待ってくれないのです。しかし、将来的に全国的な展開を考えると、公的機関以上に良い理解者・協力者は得られません。少しずつ灌漑・農業分野で前向きに協力を進めたいと思っています。そこで例年のセリフながら、超突貫工事、それも、二正面どころか三正面、四正面作戦と相成りました。予算を憂える向きもありましょうが、昨年並みを維持し、3年間かければ出来ます。
前門の虎、後門の狼ですが、もとよりこのような事態は覚悟の上、60万農民の生存を日本の良心にかけ、ただ実行あるのみ。ご協力に感謝します。


















★Dr.T.Nakamura★ 中村 哲
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直してしまった。(2010年9月23日/ブディアライ村。)