受信日:2011年2月11日


事務局のみなさん、

カマ取水口、ベスード護岸はまもなく決着がつきます。最後の追い込みの段階です。
マルワリード用水路取水堰は、短期決戦で再開しました。もうすぐ増水期です。



農地を貫く用水路の分流。この降って湧いたような緑のオアシスの源は、
当然ながら水と日光だ。灌漑なしに農業はできない。とくに第一農場は長く、100m毎に、
長さ1.3kmの灌漑路が造成されている。水は人を落ち着かせる。昨年までの殺伐な光景はなく、
土地争奪戦も一段落。対抗勢力であった軍閥と張り合うことはなくなり、遊牧民も吸収して、
新たな「地縁共同体」ができる過程にある。ここでは戦争や政治の話題は、ただの話で、
誰も本気に関心を示さない。2011年2月7日



マルワリード用水路取水堰の最後の改修。緑の楽園を提供する大元が取水口だ。
日本でも取水堰は案外目立たないという。朝倉市では「三連水車」ばかりが話題になるので、
地域の人々は最近山田堰に関心が高まっているのを喜んでいた。
吾々の取水口は大洪水で相当な被害を受けたが、復旧作業半ばで対岸指導者と衝突、
1月1日に中断。カマ取水口とベスード護岸が一段落し始めたので、2月7日に作業を再開した。
増水期直前の必死の仕事である。これがなくなると、ガンベリ沙漠開拓や農業、
植林の夢も潰える。現代日本で理解されにくい、人と自然との、命の接点なのだ。2011年2月7日



★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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