受信日:2011年7月23日


事務局のみなさん、

ラマザンを前に、追い込みです。
今秋はベスード郡の準備工事を主に伝えます。
昨年ほどではありませんが、今秋も河川工事が目白押しです。
暑いですが、暑い暑いと言う暇がありません。

●ベスード堰準備工事
交通路;資機材大量搬入が可能となり、壁面仕上げの段階
巨礫輸送;7月20日から毎日20台分のダンプが石材搬入開始
(巨礫は約1.5か月をかけ、予想必要量600台分を現場に蓄積)
水路横断橋;橋脚を終了。7月以内に完成予定。
仮堰き上げ;ほぼ過不足なく送水。巨礫で堰先端の強化開始。
最終測量と基本設計の最終案、詰めの段階

●ガンベリ沙漠開拓
第三排水路を工事中。架橋工事を月内終了予定。
第一排水路架橋工事が完了。水路壁面改修600mはラマザン中。
洪水通過橋(S2)の改修工事終了
用水路土手かさ上げ;予定2.5㎞中400mを完了
水路沿い柳植樹;残余1.8㎞中約500mを完了

●クナール河のベスード護岸
天端工事が2000m地点まで進行。間もなく完成。
洪水進入路400mの堤防かさ上げ完了

●その他
 主に排水路用の土管生産開始;日に10~15個のペース
 マルワリード用水路N1地点の分水路工事を開始
   暑いですが、巷の血なまぐさい政治劇をよそに、みな元気で働いています。洪水や渇水の不安があり、生活は相変わらず苦しいですが、悲惨な顔をして働く者はいません。
 事務局のみなさんもお元気で。


平成23年7月23日


交通路は開通したが、取水口完成後も維持補修に不可欠。一時的なものではない。長期使用に耐えるため、坂をふとん籠で固め、路肩崩れを防ぐ。準備工事とはいえ、ベスード取水口工事の中で最大の工事となった。作業員は石積みが好きで、ピラミッドの建設のような工事を黙々と進める。近くに砕石場を置いたため、石材は豊富。石さえあれば、みな安心して元気で働く。
2011年7月20日



主水路横断橋。床面を終え、橋脚の造成中。7月30日までに建設を終了、ラマザン後に使い始める。早ければよいと言うものではないが、最近の作業の早さは驚異的。以前なら2か月かかった工事を2~3週間で終えてしまう。これで測量の悩みも消える。床面が動かぬ基準点なのだ。
2011年7月21日



巨礫を満載し、仮架橋を渡りながら続々と到着するダンプカー。写真だけ見ると何でもない光景だが、この日を目指して一か月、負傷者2名を出しながら、交通路敷設を急いできた当事者にとっては、夢のような場面。巨礫輸送の第一弾が7月19日に行われた。カマ堰・ベスード護岸に要した計7000台分に比べれば輸送量600台分は少ないが、交通路確保と遠距離からの輸送の困難さは、今回ほどではなかった。しばし嬉しさで皆茫然。
2011年7月19日



ベスード堰無残。住民一体で行った籠による仮堰き上げも、異常低水位と無秩序なドゥルンタ・ダムの放水で、ことごとく潰えた。ベスード郡2000町歩は、本当に危機的な状態に陥っていた。それでも、PMSの仮工事は非常な幸運となった。しかし、不安定な水位変動は、もはや巨礫によるPMS方式の堰でしか対応できない。一日千秋の思いで交通路開通=巨礫輸送を待ち望んだ所以である。これが「アフガン復興」の現実を語る。
2011年7月19日



ガンベリ沙漠・第3排水路の開通。細かな仕上げは残っているが、試験農場の灌水が安心してできる。土管は橋として使える。
2011年7月19日



第三主幹排水路の全長・約2.3㎞、3ヶ月をかけた。これによって、ガンベリ沙漠開墾地の半分以上が湿害を起こさずに、灌漑できる。排水路はシギ排水路に連続、クナール河に戻ってゆく。
2011年7月19日


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


← 前の報告へ ○報告トップへ○ 次の報告へ →

Topページへ 連絡先 入会案内