受信日:2011年7月29日


事務局のみなさん、

週間報告です。
ベスード取水口の準備工事は、ほぼ完了しました。

ベスード取水口(Ⅰ)の準備工事は、後片づけの段階となりました。ベスード護岸は2.0㎞まで天端工事を終了、肝腎の締切堤のかさ上げ工事は、昨年並みの洪水量なら耐えるようになっています。

数日後にラマザンが始まります。今年の断食は酷暑の中なので、労働時間を短縮し、職員・作業員一同、元気で乗り切りたいと考えています。

暑い日々が続きますが、ご自愛下さい。

平成23年7月29日




ベスード取水口用水路横断橋の工事。交通路敷設と並ぶ大きな準備工事。基礎打ちから16日目で上部施工を完了。主幹用水路幅は8m、これまでで最大のもの。これはクナール河沿いと異なり、異常低水位を意識したもの。「浅く広く取る」全体の設計。PMSの鉄筋コンクリート構造物は、アフガンで「鉄筋が多すぎる」と他の業者に誹られるが、これは安普請の僻み。農林省の土地改良計画基準(昭和56年)に準拠していて、今まで大きな欠陥は見られなかった。
2011年7月28日



ベスード第一堰、仮工事の完了。到着し始めた巨礫を使い、基部7~8m、上部4~4.5mの幅で、手前に急流を置く。こうしておけば、手前で応急的な水量調節が可能。堰の長さは約85mだが、本工事では長さが120m程度となり、巨礫の幅は15~20mをとる。仮工事でも、渇水に悩むベスード郡は、特に水稲の凶作を免れた。
2011年7月28日



交通路は開通したが、路肩掩蔽のふとん籠工は、水中では危険。用水路のように背面の「吸出し防止措置」をきちんとしないと、変形して崩れる。いったん工事を打ち切り、巨礫の掩蔽で応急処置をし、ラマザン後に備える予定。「吸い出し」とは、流水中に透水性の強い籠を置くと、強い流れで背面の土石が洗い流されて空洞を生じる現象。PMSでは、必ず礫石またはソイルセメントを入れることにしている。
2011年7月28日



ベスード護岸は3500mのうち、2000mまでの天端工事を終えた。工事はなおも続けられているが、ヤナギ、ユーカリが確実に成長している。二年後には美しい並木道になる。
2011年7月27日



締切堤を石出し水制先端から眺める。水制のつけ根を中心に土砂堆積が起き、堤防を保護しているのが分かる。再測量で、締切堤の長さは400m、この河側に三つの水制が置かれている。天端工事はまだ終わっていないが、ほぼ安定したと思われる。今夏の最高水位の名残をとどめている。
2011年7月27日



水制は、昭和30年代まで日本で盛んに使われた護岸技術で、歴史はかなり古い。PMSが採用しているのは、専ら巨礫による石出し水制で、クナール河の護岸工事で全て成功を見ている。水制の先端は激しい渦流が発生し、深掘れが起きる。土砂が水制間に堆積すると共に、次の水制との間で河道の深掘れが連続して、年々河が深くなり、数年後には水制が隆起したように見える。川幅の大きい急流護岸では優れた方法。規模は日本のものより大きく、ベスード護岸では長さ15~25m、幅は基部で10m前後をとっている。最長記録はマルワリード用水路F地区の120m。
2011年7月27日



かすみ堤(不連続堤防)も、見方と使い方によっては石出し水制の変種だ。中心河道を復活させたのち、巨礫の突起構造物を並べると、河道はさらに深くなり、夏の間に流水が河底をさらって掘ってくれる。増水期にもかかわらず、堤防先端が隆起して見える。流れが深くなったのだ。1700m地点。
2011年7月27日



ガンベリ沙漠、緑化最前線。紅柳の彼方に揺れる緑地かな。人の世また蜃気楼。
2011年7月26日



沙漠の酷暑はまた格別ですが、元気です。また来週。
(ガンベリ沙漠第一農場で、陽を浴びております)


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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