受信日:2011年11月8日


特集  ベスード通水その後

ベスード堰は、低水位の取水という点で、最も完成度の高いものです。

通水後の実測値に基づき、設計上、以下を確認、訂正いたします。

  1. 主幹水路の傾斜(I)は0.0013です。 粗度係数(n)を0.015にすると、ほぼ流量が実測値に一致します。
    これは、①ベスード全体の地形が緩やかなので急傾斜をとれず、流路を思いきり幅広くとって流水断面を増したこと、②急な鉄砲水の流入を考慮し、ライニングのソイルセメントの強度を増すため、コンクリートに近づけたことが大きく影響しています。
    結果的には、これで良かったと思います。

  2. 同様に、調節池の排水路も、管水路では計画排水量が緩傾斜のためにとれず、高さと幅を広げています。

  3. 堰の越流長を初めの80mから120m以上として越流水深を下げ、クナール河と同じく、急な水位変動に対処する計画です。

  4. 取水門高さを初めの2.4mから約3.0m以上に上げて、万一に備えています。(今回の突然の水位上昇は、昨年の大洪水を上回っており、万全を期したいと思います)

以上です。
平成23年11月8日  記


通水後翌日、上部施工の足場組み。堰板を十分準備し、鉄砲水流入の危険は去った。
2011年11月1日



取水門の足場組み近景。
2011年11月1日



主幹水路をゆうゆうと流れる水。
2011年11月1日



主幹水路の側壁2段目造成を開始。もう安心。
2011年11月1日



調節池全景。
2011年11月1日



第二送水門近景。施工は続くが、安心。
2011年11月1日



第一送水門。第二に比べて水量が少なくて済むが、緩やかな傾斜のため十分水門幅をとっている。
2011年11月1日



造成中の排水門と排水路。スライド式水門の未着で造成が遅れているが、到着次第、設置する。
2011年11月1日



旧水路に架けた簡易交通橋はもう要らない。RCCパイプを撤去し、旧水路を埋め潰す。
2011年11月2日



最後の大仕事が、堰の造成だ。思いきって越流長を伸ばし、主要な流れを水門側に引き寄せる。堰造成が次の山場だ。
2011年11月2日


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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