河川工事たけなわの毎日です。
河の水位がガタンと落ち、あちこちで渇水が始まっています。アフガンでは、もう長いこと少雨に悩まされています。農家は小麦を作付けするかどうか迷います。農業に適した雨は、通常なら冬の雨季に来ます。天水をあてにした小麦栽培は、必要な時に降雨がないと、ひとたまりもないからです。また、冬の降雨は、高山の積雪となり、夏の水源ともなります。
ベスード取水口の工事をしていて改めて知りましたが、これまで非常に不安定な中で農業が営まれていました。雨だけでなく、川からの取水も当てにできなかったのです。低水位になればたちまち乾き、ひと雨降れば高水位で過剰な水が押し寄せる。現地なりに様々な工夫は凝らされていましたが、近年の気候変化は致命的な打撃を与えていたのです。
去る10月30日にベスード第一取水口で送水が始まると、競うように小麦畑が出現しました。またジャララバード近郊なので多くの野菜が植付けされ、大量に市中へ出荷されます。今年は広大な耕地を擁するカマ郡から大量の野菜が出荷され、ジャララバードの野菜価格は素晴らしく値下がりしました。カマ・ベスードの両郡は高地カブール、シェイワ郡はクナールへ冬野菜を出荷します。不安定な政情に比べ、食糧事情はずいぶん安定してきた印象を受けます。
この背景にPMSによる取水施設の整備があることを思うと、嬉しいものです。実際、斜め堰の機能は目を見張るものがあります。低水位にもかかわらず、水門部では、わずかな変化しかないのです。特にカマの堰は、9月以来、70㎝前後を一定して維持しているのには驚かされました。長期間に物量投入を要したベスード護岸も、ひたすら石や土砂を運ぶこと1年2ヶ月、やっと先が見え、今年は安心して正月を迎えることができそうです。
今週の主な様子をお伝えします。
平成23年12月3日 記
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