受信日:2011年12月12日






ベスード護岸1700m地点。昨年の今頃、この枯れた第一分流が主流に近い流れだったとは思えない。直進河道の河床の驚くべき低下による。昨年は洪水に悩み、今年は渇水に悩む。直進河道の延長が困難になったこともあり、流れを一部復活させる。
2011年12月7日



ベスード護岸のしめきり堤表法に設置された水制。長さ40mに、ダンプカー約400台分の巨礫を投入したと思えない。現在、クナール河の全水量のうち、約80%がここを通過する。そのため、異常な深さになっていて、水面下の石が見えないためだ。ひと夏過ぎれば、更に深くなる。
2011年12月7日



同水制、工事中の風景。上流側から見る。低水位期でも深さ4m以上の急流の水圧は並みのものでなく、庭石ほどの巨礫でないと流される。かなり心臓に悪い工事。
2011年12月7日



巨礫が大きいほど、当然流されにくく、効果が大きい。堰や水制の工事が始まると、運転手は競って大きな石を選んで積み込む。積載で最大のものが、写真の巨石。長さ2.6m、高さ1.4m、幅1.7m、これまでで最大の玉石の化け物。積載技術は職人芸。ブディアライ村の採石場。
2011年11月1日



巨礫による水制はかなり頑丈。写真は2006年12月に作られた水制で、長さ70m、3基の造成に要した巨礫は、ダンプカーにして約2600台分。5年を経過。

左手の沈砂池(マルワリード取水口から1.6㎞地点)が決壊寸前で、緊急工事として実施された。昨年の大洪水にも耐え、役目を果たしている。

水制先端を結ぶ線に沿って深掘れが起き、川の水位を著しく下げる。水制の長さの分だけ岸辺から遠ざかり、水制間に土砂堆積が起きる。今回はこの地点と類似の危険。この変化を狙って、ベスード護岸しめきり堤前の水制を設置した。
2011年11月6日撮影



カシコート(写真右側)洪水破壊地点の護岸の予備工事。

破壊が著しいのは、上流から急傾斜で下る流れが、対岸のジャリババ渓谷から張り出した巨礫層に阻まれ、大きく半円を描いて急流でカシコート側を洗うためだ。
下流架橋地点がすぐ下手にあり、わずか104mの狭い所にあった橋脚の影響で、洪水時に激しい堰上がりが起きたことも影響している。

半円の外縁は年々拡大、遠心力で急流となり、大決壊は時間の問題。とりあえず河道を分割、ショートカットを作って流圧を減殺、本工事は来年度に持ちこされる可能性が高くなった。だが、カシコート復興は、ナンガラハル州北部三郡の灌漑計画の仕上げである。PMSとしては、数年をかけ、全力で実行する予定。
2011年12月7日



仕上げを待つジャリババ洪水通過路。幅36mとなり、悠々とご通過願う。コンクリート構造物は完成しており、蛇籠で掩蔽、この背面にさらに巨礫を洪水通過路全体に敷き詰める。小さい工事ではないので、シェイワの主流回復工事を待って、実施する。
2011年12月7日



ヤナギ並木が脱けた所が、洪水通過地点。鉄砲水の激しさはダラエヌールをしのぎ、毎年泣かされてきたが、今度こそは十分なはず。急傾斜で迫って見えるジャリババ渓谷(正面)の眺めは圧倒的。さしずめ、宝満山の頂から急流が大宰府を襲う程のもの。
2011年12月7日


★Dr.T.Nakamura★
中村 哲


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