前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ


PMSの水利事業で灌漑された地域_2012年10月20日更新
(地図、表の上をクリックすると大きく表示されます)


シギ地域へ送水するサイフォンの建設。マルワリード用水路末端T区域(取水口から25.5㎞地点)。洪水路をくぐらせる地層が問題だったが、試掘により固い砂利の層に当たり、一同大喜び。基礎工事を開始した。基礎は固い砂利層の上に、厚さ約1mのコンクリートを打ち、更に40㎝厚の鉄筋床が置かれる。
2012年4月10日

マルワリード用水路からシギ村落への送水を阻んでいたのが、ガンベリ沙漠西にある幅広い洪水路。年に数回、信じられない鉄砲水が下ってゆく。ものの1~2時間だが、激しく大量の鉄砲水が出る。今回、約200mをくぐらせるサイフォン建設で送水が、やっと実現しようとしている。これまでPMSが手がけた中で最長のサイフォン。ダラエヌール渓谷通過点に置かれた120mの記録を更新する。
2012年4月10日

マルワリード用水路、沙漠横断路の現在。著しい木々の成長のおかげで、主幹水路が砂で埋めつぶされることがなくなった。年を重ねるごとに用水路は強くなっている。だが、絶えず小さな補修、浚渫、植樹など、見えざる努力が込められているのだ。
2012年4月10日

平和ヶ丘の現在。Q2大池土手からの遠望。標高634mで、ちょうどジャリババの取水口の標高と同じ。ガンベリ沙漠の地面から約15メートル高い。ここに給水塔が置かれ、防砂林保全・拡大の要衝となっている。手前の緑のベルトがマルワリード用水路。水路をはさみ、人里と沙漠を分かつ。
2012年4月10日

上記平和ヶ丘の頂からの眺め。用水路の水をポンプ小屋まで引き込み、揚水する。プールの水は濁っていない。夏季の濁流も、はるばる20数㎞を流れ、岩盤周りの大池を通過するうちに細かい土の粒子が沈殿し、清水に近くなる。
2012年4月10日

同貯水槽に揚水するポンプの小屋。タービン式で効率が良く、かつて灌漑井戸の汲み上げに使われた。
2012年4月10日

防砂林は人里を守る不可欠の防御壁だ。給水塔の完成によって幅100m以上、長さ4㎞の林の保全は楽になっている。溝を掘り、傾斜を利用して水やりする。沙漠がうっすらと青いのは、春近い時期の降雨が多かったためだ。ガンベリ沙漠が青みを帯びるのは、しばしば大洪水の前兆である。
2012年4月10日

沙漠が森に。平和ヶ丘からガンベリ沙漠岩盤地帯を望む。
植林の効用は幅広い。ガンベリ沙漠では、①防砂林にとどまらず、②洪水路に置いて破壊力を減殺する。③高い位置の水路法面に植えて土手を強化する。④生活に必要な薪や建材の生産、⑤陰を作って陽ざしを弱め、作付けを守る。などなど、その恩恵は計り知れない。昨年はジャリババの鉄砲水で水路が破壊され、給水塔建設が大幅に遅れた。そのため、今冬の植樹は4万本程度にとどまり、総植樹数は65万本。100万本達成を祝うのは、2~3年待たねばならない。
2012年4月10日

春のQ2大池。堤防斜面の植樹は、現在まるで森のようになっていて、簡単には崩れない。水辺の柳並木は池の周囲1200m、緑の縁取りを作る。マルワリード用水路で最難関だった場所。この大池でガンベリ下流域は、洪水被害を守られ、定住を可能にしたのだ。山麓沿いの激しい鉄砲水は、破壊の力は大きいが、ごく短時間である。絶対量は思ったより少なく、水路に流入しても、要所にある貯水池のおかげで溢水することは殆どなかった。防砂林と並び、里の護り役。
2012年4月10日

Q3大池
2012年4月10日

マルワリード用水路、E区域。監視を怠ると家が張り出し、交通路を塞いでしまう。そうすると、用水路の保全ができない。政府の権威の失墜は、直接吾々の負担を増している。だが、力ずくの統制は、力が失せると崩れる。25㎞にわたる用水路保全のカギは、まめに各村自治会と交渉を重ね、小施設を整備し、共有の財産としての意識を定着させることだ。ここには、政情、戦争、安全情報など、巷のアフガン報道とは無関係の生活空間がある。
2012年4月10日

前の報告へ | 報告トップへ | 次の報告へ