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総植樹数が70万本を超えました!

総植樹数は、9月の集計で、70万本を超えました! 内訳は以下の通り。

1)全体的にみると、ヤナギが圧倒的だが、2009年ガンベリ沙漠開拓が始まって、ガズ(紅柳)、ユーカリなど、防砂林造成に多く植えられるようになった。
2008年後半から2011年までの爆発的な植林増加は主にこれによる。同期はカマ・ベスードの主幹水路や護岸工事が行われたことも影響している。

2)ユーカリは乾燥地だけでなく、河岸にも植林される。湿地をかなり好む。

3)ビエラは棘のある灌木で、小粒の甘い実をつけ、専ら養蜂用に育てている。根が深く、乾燥にめっぽう強いので、盛り土の斜面保護にも使われた。
アフガン産の蜂蜜はほとんどがビエラで、レンゲより美味しい。

4)オリーブは生育が良く、ビエラと同様、根が深くて乾燥に強い。斜面保護だったが、最近は収穫を意図して育苗されている。

5)果樹では、ザクロが最も有望で、簡単な挿し木で増やせる。2012年は6000本が挿し木され、ほとんどが活着した。
その他、ブドウ、レモン、オレンジなどが植えられている。果樹は一般に非常に糖度が高い。

6)ghuraski の和名は分からないが、糸杉に似ている。

7)その他、マツ、バラなど、多様な木が試験的に育苗されている。
ガンベリ沙漠で育つバラは、系統は不明だが木立性、病害虫に非常に強く、黒斑病などは見られない。大した肥料もないのに大中輪の美しい花を咲かせる。
職員や作業員が持ち寄ってきたもので、白・赤・黄・ピンクら、様々な花を咲かせる。

カマII用水路(2011年竣工)沿いで育つヤナギ。
何れも挿木で、1年半を経過し、4m前後に成長。こういった柳枝工のヤナギが全植樹の半数以上、圧倒的多数を占める。
蛇籠(ふとん籠)工と組み合わされることが多い。
2012年10月24日

浚渫中のカマII用水路で観察されたヤナギの根(下段蛇籠から出ている茶色が根)。
ヤナギの顕著な特徴は、幹が太くなっても硬いものを押しやることなく、柔らかい土に沿い、石の隙間に毛のような根を無数に張ることだ。地下の樹の体積は全体(幹・枝葉を含む)の49%とされ、根の先端は水に浸かっている。当然、根腐れを起さない。籠の石の間を詰める根は、「生きた籠」として水中の籠を強靭にする。古人の知恵。
2012年9月23日

砂防林に使われるガズ(紅柳)。
ガンベリ沙漠は砂嵐が荒れる。一夜にして田畑が埋まることも稀ではなかった。
2009年にマルワリード用水路が到着すると同時に、防風林の造成が開始された。幅100m以上、長さ5㎞にわたる植樹は今も拡張を続けている。写真は2009年2月に植樹した領域。
2012年10月22日

紅柳の植樹は、今やヤナギと双璧を成す。
ヤナギが水辺なら、紅柳は乾燥地。成長は、条件が良ければ驚くほど速い。写真は今春植えたもので、数ヶ月を経過。これが巨木の森の始まり。挿し木だと、植樹時期が冬期に限定される。最近では育苗場でポット苗にして移植。夏期でもできるようになった。
2012年10月22日

2009年2月に植樹した領域。
挿し木から3年8か月。潅水は不要。植樹担当のアジュマル君は身長175㎝、樹は7m以上に伸びている。
2012年10月22日

洪水路に植えたガズ(紅柳)。
紅柳は洪水対策にも力を発揮する。マルワリード用水路は崖地沿いの山麓を通るので、しばしば気まぐれな鉄砲水に襲われる。
普通は洪水路上流へ向けて幾重にも植樹、鉄砲水の流速を減殺して水路内に取り込む。樹林帯の前後で洪水土砂が堆積するが、樹木の生長をすばらしく良くする。洪水のもたらす土が肥沃なのだ。住民や吾々が積極的に採取して、耕作地へ運ぶ。間伐材は貴重な薪。植樹は人里を守り、災いを福に転ずる。
2012年10月22日

マルワリード用水路20㎞付近。沙漠と人里を分ける樹林帯。
3年間の変化が一目瞭然。沙漠といっても、3~4mの砂質層の直下に厚い粘土性のシルト層があり、案外保水性がある。
用水路開通で含水層が上がり、ガズ(紅柳)は3年で水やりが要らなくなる。
2012年10月22日

平和ケ丘の給水塔。
防風・防砂樹林帯は用水路より4~6メートル高い。水路から引き込んだ水をタービン式ポンプで16m揚水、給水プールから小川を流し、新たな苗木に潅水する。これによって、5㎞にわたる樹林帯の保全が容易になった。紅柳は過度の湿気を嫌うので、案外維持費がかからない。
頂上の標高は、奇しくもマルワリード取水口と同じ633.5m。東京スカイツリーの高さ。
2012年10月22日

PMS第二農場のザクロ区画。
今年1~2月に挿し木したもの。収穫できるまで3年だという。ほとんどが活着している。6000本は壮観。
アフガン産ザクロは、実が甘くて大きく、種が小さく食べやすい。そのまま食べてもよいが、ジュースが爽やかで美味い。そのうち毎日ザクロのジュースが飲める。
2012年10月22日

気が早いのは、もう花を咲かせ、実がつきかけている。
2012年10月22日

第二農場のレモン。
これもザクロと同時期に小苗を移植したもの。生育は旺盛。ガンベリ沙漠では一般にかんきつ類が有望で、ミカン、オレンジらを来年試みる。
2012年10月22日

こちらはブドウの区画。
苗は現在地面を張っているが、間もなくぶどう棚を作ってつるを登らせる。
2012年10月22日

5年前に用水路の土手に植えたオリーブは、今盛大に実をつけている。
アフガン産のオリーブは昔から名高く、主にイタリアに輸出されている。イタリア・ブランドとして世界中に出回る逸品。PMSでは塩漬けにして食用にしている。
2012年9月29日

マツの育苗区画。
マツはカブールやパキスタンのスワトで見られるが、何れも高地だ。温暖低地のガンベリ沙漠で育つか分からないが、ここは何でも試してみるべき。
マツは大柄で、松ぼっくりはビックリするほど大きい。種名は分からない。右手がグラスキと呼ばれる樹の苗で、糸杉に似ている。
2012年9月3日

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