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シギ分水路のサイフォン開通!

長い懸案だったシギ分水路は、マルワリード用水路末端のガンベリ沙漠洪水路の通過が難所でしたが、昨日2月3日、9ヶ月をかけた洪水路横断サイフォン260mが開通しました。これで後は時間の問題、約2㎞の分水路が春までに同村落群、約1000町歩を潤します。

今年秋にクナール河からの調節門ができると、湿害を一掃し、シギ全域が安定灌漑に浴し、二毛作、三毛作が可能になります。理由は、これまで報告してきたように、シギ下流域への既存水路の容量が小さく、無理な送水で上流側に湿地を生じていました。このため、下流域は灌漑の順番を長く待たねばなりませんでした。待っているうちに、作付けのタイミングを逃し、収穫が出来なかったのです。

同日、シギ村は喜びに包まれ、小雨の中、大勢が躍り出て開通を祝いました。州行政からも郡長・灌漑局長自らが駆けつけ、喜びを共にしました。

「シギ」とは砂の意です。かつて砂嵐でしばしば泣かされてきましたが、40年前、ダウード政権時代に約4㎞の砂防林が置かれ、この植林事業はタリバン政権に引き継がれたが、2001年に始まった戦争後、中断していました。2009年3月にマルワリード用水路がガンベリ沙漠に到着すると同時に、PMSが砂防林5㎞の造成を沙漠の奥深くまで開始、やっと人里らしくなってきたのです。送水と並んで砂防、シギ地方は耕地面積を増やすと共に、既存耕地の生産力を高めています。

皆様の御協力に感謝を以て、お知らせいたします。

平成25年2月4日 記

試験通水直前の記念撮影。サイフォン上流端は幅1600mmのスライド門を設け、水量調節ができるようにしている
2013年2月2日

翌日雨天にもかかわらず、灌漑局とシェイワ郡長、シギ自治会が顔をそろえ、開通式を行った
2013年2月3日

サイフォン下流端。上流端からの落差1.7m、計算通り毎秒1.6m3の豊富な水量を送る。スランプール地域とほぼ等量
2013年2月3日

造成中の分水路を通って水は勢いよく流れ込む
2013年2月3日

作業に水が欠かせなかったが、もう水タンク車は要らない。村長が躍り出してきて菓子をバラまいて作業員たちに注ぎ、狂喜するハプニングがあり、楽しい一日となった
2013年2月3日

サイフォン建設の現場を取り仕切った職員、モハマッド・カーヘル。字は読めないが、絵図面だけで正確に作る。用水路建設は、このような無名の優秀な労働者に支えられてきた。サイフォンは時折、子供が転落して溺死することがあるので、鉄筋網でふたを作っている
2013年2月3日

小水路担当の現場監督職員、モヘブッラー。ソルフロド出身。州内で最も豊かだった出身地は今、沙漠化で壊滅して暮らせない。豊かな農村復興をガンベリ沙漠に夢見て働く
2013年2月3日

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