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シギ分水路、カシコート用水路、共に半ばを越えて次の段階へ
ダラエヌール診療所、女子診療施設の増設で祝賀会

この一週間は、雨天で寒い日が続き、熱で眠っている時が多かった上、シギのサイフォン開通、診療所の増設祝いなどの催し物があり、少々くたびれましたが、仕事は順調に進んでいます。職員一同、意気軒昂です。
このところ政府関係者の出入りが目立つようになり、PMSの仕事は大方の階層の支持を得るようになってきたと思いました。

2月9日現在、カシコート主幹水路は道路横断暗渠(22.8m)が鉄筋組みを終え、明日床面のコンクリート打設が始まります。掘削は調節池まで80mに迫り、蛇籠組は805mまでを間もなく完了します。
護岸工事は取水門から上流、800m地点を工事中です。予算上、少なくなった重機をフル稼働させ、努力が続きます。
取水口から1,775mまで伸びる主幹水路は3月中に伸び、送水路と既存水路との接点が焦点になってきます。これから先は、私有地の一部を通るので、住民との折衝が始められています。

シギ分水路は、サイフォン開通ののち、急速に進展、来週中に半ばを越えます。カシコートに比べて規模が小さいといえど、こちらも集中豪雨と鉄砲水にさらされる場所が多く、決して楽な工事ではないようです。
鉄砲水対策は、まるでマルワリード用水路の縮小版、わずか全長2㎞の中で、3か所に小サイフォン、数か所に架橋、一ヶ所に貯水池が置かれます。無い知恵を絞りだし、大自然相手に苦闘が続けられています。

最近の目新しい出来事は、ダラエヌール診療所の増築です。母子保健に重点が置かれるようになり、妊産婦の診療が求められるようになってきたからです。
まだ増改築中ですが、医師らの宿泊施設を建て増し、別に借りていた建物を空け、高い借料を節約する意味もあります。一か月前から建設が始まっていましたが、保健省の重鎮が関心を示し、祝辞を述べにやってきました。
診療所に滅多に行くことがなくなりましたが、久しぶりの激励訪問にみな大喜びでした。顔を見渡せば、20数年前と変わらぬ者が多く、まるで同窓会のようでした。
多くの者は失せ、結局、地域に根ざす正直者が残りました。彼らが医療関係の底力で、ジア先生の指揮下、営々と診療を続けています。

最近忙しくなり、連絡や報告も遅れがちですが、ご勘弁願います。

シギ分水路は次回、まとめて報告します。

平成25年2月9日 記

増築中のダラエヌール診療所。この日は、行政側から保健省、住民側からダラエヌール各村自治会代表が参加、難航していた診療所の合法性を得た。建築は職員のカーヘル。マドラサを建てた経験があり、造作なく仕事を進める。行政側が好意的になったのは、残る救援団体が少なくなったこともある
2013年2月9日

アフガン人だけで診療所が回せるか、危惧を抱いていたが、それなりの技術は良く引き継がれている。みな20年以上の古参で、さすがに互いの白髪頭を見つめ合った。白衣が似合わなくなってきた
2013年2月9日

診療所まで舗装道路ができ、マドラサとは目と鼻の先(自動車で約10分)になっている。シェイワ郡は全体が豊かになり、マドラサも800名の学童が通う。竣工から2年、緑に包まれてきている
2013年2月9日

同時に竣工したモスクは、今や地域の要で毎週約800名の礼拝者であふれる。イードの時は1000名を超えるそうだ
2013年2月9日

内部はきれいに維持されていて、小ざっぱりしている
2013年2月9日

簡素な中に、ドームの内装だけはちょっぴり豪華で、美しい。漆喰は数年に一度塗りかえるという
2013年2月9日

カシコート調節池からの排水路用地。ここは元クナール河の主流だった。2003年に恐らく洪水対策でECの団体が閉塞したもの。2010年の大洪水の侵入で土砂が堆積し、窪んだ湿地帯になっている。3.5㎞先で河に戻る。排水路がなければ湿害が起きる。とりあえず単純掘削し、調節池からの排水を行う
2013年2月9日

カシコート主幹水路1.7㎞地点。道路を横断する暗渠。長さ22m、両端に水路脇の道が来るので、二重の十字交差点となる
2013年2月9日

同鉄筋組み作業。作業員は慣れていて、仕事が早い。鈴木流で鍛えられたカンレイ村のグループ。頑丈さは折り紙つき
2013年2月9日

主幹水路は掘削を1.6㎞終了。正面は、クナール河を挟んでジャリババ渓谷とケシュマンド山系。マルワリード用水路の洪水通過点が見える
2013年2月9日

用水路護岸壁。主幹水路の第二架橋地点(805m)を仕上げ、今週中に後半約900mが始まる
2013年2月9日

薄化粧のスレイマン山脈を背にする取水口。用水路右岸壁が、第5河道に接する。巨礫で蛇籠壁を掩蔽し、ヤナギを植える。蛇籠間は高さ4メートルまでコンクリートを詰め、夏の濁流に備える
2013年2月9日

上流の洪水流入地点護岸工事。2010年の大洪水で相当な畑が河の一部となっていた
2013年2月9日

同部は、川幅200m、長さ160m以上にわたって砂利が堆積、急激な堰き上がりが起きたもの。村の名サルバンドは、「取水口」という意味で、洪水も取り込みやすかったのだ。長さ160mの堆積を幅80mで掘削、ショートカットを作る。丈夫な礫石は護岸工事に使用される
2013年2月9日

洪水を起した「自然の斜め堰」は広大。幅80m前後を百数十mの長さで落差1.7mを切り崩す。魔物のような河との共存は、やはり一筋縄ではない。河は話してくれない。人間が計算できるのは、自然のごく一部の現象だけだ。祈るように施工する
2013年2月9日

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