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インダス河全域で大洪水か
「2010年大洪水の水位を超える」
~各PMS堰・取水門付近も予断許さず
       ベスード護岸一部決壊~

先の週報で知らせましたが、かなり激しい洪水です。各取水口の水位は2010年8月の大洪水を上回りました。パキスタン側のニュースでは、スワトで氾濫、ペシャワール近郊の河川は異常高水位に見舞われ、一部に浸水したと伝えられます。
状況が2010年8月に類似しており、しかも雪解けのピークに重なっているので、最悪の事態を想定すべきです。

急激な気温上昇で早い雪解けが起きたうえ、大規模な上昇気流で厚い雨雲が高山を覆っています。しかも、今年は降雪が遅く、高水位が早めに襲うと考えていましたが、これ程とは思いませんでした。アフガン側では、カブール河本流、クナール河全域で水位が上がっています。クナール河上流のチトラール、ヌーリスタンで豪雨が降っていると思われます。

おそらく、カラコルム山脈とヒンズークシ山脈南麓全体で同様の状態だと想像されます。治安も最悪のようですが、洪水に比べれば物の数ではありません。場合によっては、3年前を上回る被害が出ます。

最も水害に弱いのはベスード郡で、必死の作業が続いています。今後のニュースにご注意ください。また、各所で一斉にかさ上げ工事を緊急に実施できるゆとりがあるか分かりません。水位は分刻みで動揺しながら上昇中です。

機械力が不足する場合は、緊急予算を頼みます。

なお、シギ分水路は明日、試験開通しますが、こちらは後で報告します。

とりいそぎ。

平成25年6月12日 記

壊れたカシコート橋が水没寸前。倒壊すれば悲劇となる。堤防のかさ上げ工事を急ぐ。
2013年6月12日

カシコート橋上流側左岸。高水敷が完全に水没、天端の低い場所は、水面から約70㎝に迫る。
2013年6月12日

カシコート取水門。余裕はあと1メートル。
2013年6月12日

カマ第一取水口。最も安定した取水堰と見なされていた。2010年の大洪水で越流したので70㎝かさ上げしたが、それをも上回る。
2013年6月12日

カマ第二取水口。余裕は約1.5m。
2013年6月12日

ベスード護岸1700m地点の決壊寸前。
水位は分刻みで上昇、巨礫輸送が追いつかない。
2013年6月12日

ベスード護岸、約2500m地点のしめきり提。高水敷が水没。
水面から天端まで約1m、決壊すればベスード郡の三分の一が浸水する。
2013年6月12日

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