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洪水一過、今度は渇水の兆し
~護岸工事、まもなく完了予定
カシコート既存水路へ試験通水予定
カブール騒乱~

極端な所です。洪水は引きましたが、今度は渇水の兆しがあります。
作業地全域で水稲栽培が爆発的に広がったことは喜ぶべきことですが、トウモロコシ栽培が今年は余り見られず、水欠乏が間もなくやってきます。元来なら、村落間で水量を見て、コメとトウモロコシの輪作が行われます。コメがトウモロコシの5倍以上の水量を要するからです。問題になっているのは、PMS の関与してない流域、ベスードII(タンギトゥクチー)とカシコートです。カシコートは既存水路の連結部が工事中で、実現を見てないものです。

現在、カシコートでは、既存水路への送水を急ぎ、来週中に仮通水します。護岸工事は、この際危険と思われる箇所の工事に完璧を期し、人々の不安を取り除きたいと思っています。

カブールでは政府主要施設が次々と襲われ、民心が動揺していますが、今のところ、諸外国政府は「退避勧告」を出していないようです。

洪水対策で一カ月が暮れてしまいましたが、先のことを考えると、これで良かったと思っています。カマ第一取水門はかさ上げ工事を完了し、万全を期しています。

今年は夏の政情が物騒なので、護岸工事を仕上げ、カシコートの連結ルートに見通しをつけたあと帰国、9月まで日本に居ます。涼しくなる10月に大きな工事が始まります。

平成25年7月5日 記

カマ第I取水門のかさ上げ工事。今回の洪水時、上から50㎝まで水位が上がったが、対岸の派手な洗掘で大過なかったもの。対岸護岸を進めれば、高水位に見舞われる。工事は急きょ始められ、間もなく完了する
2013年7月1日

カマI、カマIIの取水堰を上流から見る。水位は4月中旬並みに下がり、極端な変動。むしろ、渇水が心配される。しかし、カマでは、両取水口ともに十分な水位を保ち、堰は全く影響を受けなかった。分離された河道の間の砂州が安定し、却って強化されている
2013年7月4日

カマ第I取水堰はほとんど洪水の影響を受けなかった。だが、これは対岸の幅広い洗掘によると判断、かさ上げを行った。こうして小さな改修を重ね、堰は年々強くなってゆく
2013年7月4日

カマ第I取水堰対岸(ベスード地区)、決壊部の補修。水深は予想以上に深く、巨礫による復旧工事は3週間を経過、同部に使用された巨礫はダンプ450台分。工事はまだまだ続く
2013年7月4日

ベスード護岸約2000m地点のタプー堰。周辺河道はかなりの変化があったのに、斜め堰は強靭で、洪水の影響はほとんどなかった
2013年7月4日

ベスード護岸2500m地点のしめきり提・第二水制。先端約18mが崩壊して流失。河道変化に加え、横殴りの激しい流水圧を受けたためだ。普通、巨礫の石出し水制は強く、このような崩壊は経験がなかった。同部しめきり提が破堤すれば、ベスード郡の三分の一が浸水する由々しき事態。ここを強化して一応の緊急工事仕上げとなる
2013年7月4日

カシコート取水口から上流500~800mの護岸。石出し水制(幅10m、長さ20m)を4基、50~60m毎に設置、岸辺の洗掘を防いだ
2013年7月4日

復活した水田。バルカシコートの耕地が倍増、村の人口が増えている。
(バル=“上”の意)
2013年7月4日

数日前からクナール河の水位が急激に下がり、連続堰の形が再び見え始めている。カシコート取水口の水位は、現在床面から160㎝、十分な水位だが、4月初旬並み。対岸マルワリード堰は水位125㎝、堰工事がなければ水不足が始まっていたところ
2013年7月4日

仕上がった水路壁の背部の柳枝工が少しずつ進む。ヤナギの活着率は、最近ではほぼ100%、ポンプを廃止してバケツによる潅水を始めてからだ。無ければ無いで、皆工夫する。やはり地元は地元のやり方が良く、長続きする
2013年7月4日

沈砂池(調節池)内部は、ほぼ完成しているが、来週より巨礫で掩蔽して補強する。水不足の折から、既存水路との連結部を先に進めている
2013年7月4日

既存水路との連結部の造作。まだ出来てはいないが、来週通水して様子を見る
2013年7月4日

先に紹介したシーシャムの苗。河川沿いの到る所にあり、うまく潅水できれば、労せずして自然林を作る可能性がある。繁殖しないのは、苗のうちに動物が食べたり、人間が雑草として取り去るからだ。人里ではあまり見られず、河沿いで種が漂着して到る所に自生する
2013年7月4日

ベスードで見られるシーシャムの樹林。住民に尋くと、わざわざ植林した記憶がない。いったんまとまった林が出来れば、自然に拡大するという。ユーカリより根が深い。薪としてもカロリーは最高、これは行けそうだ
2013年7月4日

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