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洪水につぎ、渇水の兆し

この一カ月、洪水対策に追いまくられているうち、先週から突然水位が下がり始め、この一週間で4月初旬か、9月中旬並みの河の水量です。異常です。本来なら、今がピークの筈です。 猛烈な暑気に加え、雨がほとんど降りません。この3カ月、わずかに申しわけ程度のパラツキが2日あっただけです。河沿いの住民が脅え始めています。

しかし、こちらも疲労が強くなってきました。今度は渇水対策の備えをして、1カ月の仕事に区切りをつけました。断食月に入って5日目です。

カブールから戻ってくる人に尋くと、本来なら最も多いはずの同支川、パンジシェール河が、カラカラだそうです。カブールは戦乱が激しいらしく、「無政府状態」に近いと口をそろえていました。また、元から居たカブール市民は、ほとんどが外国へ逃れ、今市内に居るのは大半が田舎から職を求めてくる人々だそうです。誰もかれも、いつまで続くか分からぬ混乱に嫌気がさしています。恐れるのは渇水ですが、力は尽くしました。せめて、私たちが手を染めた地域は守り抜きたいと思います。

とはいえ、泥沼化した河川工事で皆へとへと、酷暑の断食は相当こたえますので、一時休戦、秋の本格工事に備えたいと思います。血なまぐさいニュースが多いので、「もういい加減にしてくれ」と言いたいところです。

平成25年7月16日 記

カマ第一取水門のかさ上げ工事は完了。堰板をつり降ろすチャルハの位置を高くしている
2013年7月13日

同カマ第一取水堰を対岸から見る。水が引き、楕円状の中州が姿を現している。大洪水だったにもかかわらず、堰体にほとんど影響がなかった
2013年7月13日

ベスード護岸1700m地点。水が引くと洪水の高さが分かり、かえって恐ろしい。退避していた住民は戻っているが、道路が半分なくなり、陸側へ移動する
2013年7月13日

同地点、湾曲河道の現在。分岐点が大きく拡がり、中心河道も広がっている。溢水は起きなかったが、この水量は7月にしては異常。過去10年で最も低い
2013年7月13日

ベスードIの現在。こちらも低水位だが、堰は健在で、現在のところ、十分量が取れている
2013年7月13日

ベスードIの主幹水路は、しばらく見ないうちに、美しい公園になっている
2013年7月13日

断食月中の作業は浚渫に限る。午前3時から午後7時まで水を飲めないのはつらい。今年は水稲栽培の増加で、マルワリード用水路もフル送水。現在一日量は50万トンを超えている。それでも不足気味なのは、降雨がないせいだ
2013年7月14日

シギ分水路も、まだ工事中だ。わずか2㎞だとタカをくくったのが悪かった。結局大小7か所のサイフォン、トンネルなど、暗渠のオンパレードになった。あと200mは開水路ばかりなので、時間の問題
2013年7月14日

カシコート堰(連続堰)第⑥河道の浚渫。この河道のおかげで、大洪水による溢水を免れた。秋の工事に備え、浚渫を始めている
2013年7月15日

交通路は残っているが、第⑥河道の堆積分だけ、水が第⑤から第④河道へ逃れ、交通路を崩壊させた。本来ならこれでも良いが、マルワリード側の補修のためには、復旧が必要。これは低水位期の秋に一挙に進める
2013年7月15日

左岸カシコート側の堤防に連続させた越流型水制は十分な役目を果たし、河道の彎曲は完全に封ぜられた。壊れた橋脚にほぼ均等な流水圧がかかり、しばらく折れそうにはない。流方向の調整に用いられた水制の典型例。流れは突き出した方向に対して直角に進む性質がある
2013年7月14日

柳に混じって自生したガズ(紅柳)。ガンベリ沙漠、マルワリード用水路の25㎞地点。「紅柳」という名も納得
2013年7月14日

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